幼稚園に通う5歳の息子を持つ40代共働き家庭の父親。幼稚園のPTA役員に選ばれた妻が疲弊する様子をみて「そんなに大変? 退会するか、もっと適当にやったら?」とアドバイスしたところ、「他人事(ひとごと)のように言わないで!」と叱責されました。「論語パパ」こと中国文献学者の山口謠司先生が、「論語」から格言を選んで現代の親の悩みに答える本連載。今回の父親へのアドバイスはいかに。

【相談者:5歳の息子を持つ40代の父親】

 私立幼稚園に通う5歳の息子を持つ40代の父親です。この春、わが家はPTA役員に選ばれました。息子の幼稚園はもともとPTA活動が盛んで、一人っ子のわが家は、これまでの役員決めでも候補にあがっていたのですが、ついに選ばれてしまいました。私は管理職で多忙なため、PTA活動はパートタイムの妻に任せることになってしまいます。妻は「子どものためなら」と引き受けたものの、いざ活動が始まると、時間を奪われ、人間関係に悩まされ、おまけに無報酬とあって、すぐ疲弊していきました。

 愚痴ばかりの妻を見かねて、「PTAってそんなに大変? 退会するか、ほかの人に任せて適当にやったら?」とアドバイスしたところ、妻から「他人事のように言わないで!」と泣いて叱責されました。できない活動はほかの役員に任せるなり、縮小するなり、もっとうまくやればいいと思ったのですが……。PTA任期終了まで10カ月以上、このまま妻の不機嫌が続くと思うと憂鬱です。

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山口謠司
山口謠司

山口謠司(やまぐち・ようじ)/中国文献学者。平成国際大学新学部設置準備室学術顧問。大東文化大学名誉教授。1963年、長崎県生まれ。同大学大学院、英ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。NHK番組「チコちゃんに叱られる!」やラジオ番組での簡潔かつユーモラスな解説が人気を集める。2017年、著書『日本語を作った男 上田万年とその時代』で第29回和辻哲郎文化賞受賞。著書や監修に『眠れなくなるほど面白い 図解論語』(日本文芸社)など多数。2021年12月に監修を務めた『チコちゃんと学ぶ チコっと論語』(河出書房新社)が発売。ラジオパーソナリティ、イラストレーター、書家としても活動。フランス人の妻と、大学生の息子の3人家族。

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