【解説】
お答えします。PTAって、めんどうくさいものです。大変です。ぼくもやっていました。嫌で嫌でたまりませんでした。わが子のためと思うから、一生懸命やろうと思ったのですが、忖度と責任のなすりつけ合いと、ほかの親御さんたちからのイジメ、嫉妬など。フェイスブックやホームページなどで私個人の情報を探し出してはアラ探しされ、うわさに尾ひれがついて、勝手にどんどん増幅していくのですから、身も心もボロボロになりました。
なんのためのPTAなの?と思います。相談者さんは、仕事とPTA活動を両立している妻をもっとねぎらうべきです!
PTAは「Parent-Teacher Association」、在学している子どもの保護者と、先生が協力して、学校、家庭、地域社会を結ぶ子どもの教育環境をよくしようとするための任意団体です。これは、みなさんもよくご存じでしょう。強制ではありませんから、やめようと思えばやめられますが、相談者さんの妻は、「やめるとさらなる外圧が待っているのでは?」と不安になっているのかもしれませんね。
日本のPTAは、戦後まもなく始まり、すでに80年近く、同じような問題を抱えています。保護者同士の輪を円滑にすることを標榜(ひょうぼう)しつつも、熱心に参加する人と、そうでない人がいて、逆に人間関係の対立を生みトラブルが多いという側面があるのです。
2500年前の思想家・孔子が、人としてのあるべき姿を説いた『論語』にこんな言葉があります。
「子曰(しいわ)く、君子は和して同ぜず。小人は同じて和せず」(子路第十三)
この言葉は、「付和雷同」つまり「まったく自分の意見や主義などもなく、安易に他人の顔を見て賛成する」という四字熟語のもとになった有名な言葉です。
PTAの問題の根底には、日本人の自信のなさがあると、私は思います。「間違っていてもいい、人と違う意見でもいい、しっかりとした自分の考えで発言できる、行動できるという自信がなさすぎなのです。
孔子は、後世、聖人と言われるようになりますが、「嫌なことは嫌」「ダメなものはダメ」と、強く自分を主張する人でした。『論語』には、こんな話も載っています。
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