「コンビニ百里の道をゆく」は、54歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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読者の皆さんも日頃、よく使っておられるデリバリーサービス。ローソンは「ウーバーイーツ」を日本のコンビニで初めて導入したのですが、その導入店舗数が先月で5千店舗を突破しました。
コンビニエンスというその名の通り、私たちは「便利さ」を売りに店舗を増やしてきました。最初は「24時間開いている」という便利さ。そこから、お店で揚げるフライドフーズを導入して「からあげクン」を38年前に発売したり、公共料金等の支払窓口となったり、最近で言えば無印良品さんとの協業で、洗面用具や下着類など「毎日使うアレ」もローソンでというご要望に応えたり、さまざまな形で便利を追求してきたんです。
そんな中、コロナ禍で外出しにくい状況になり、「広範囲の商品を近くにあるローソンから家まで届けてほしい」というニーズが出てきた。そしてコロナが落ち着いた後も、「やはりこれ、便利だよね」と皆さんによく利用していただけるようになりました。
ただ、これまではお客様のスマホにある「ウーバーイーツ」のアプリと、店舗にある在庫の有無の状況が自動連携していなかった。そのことで欠品の際などお客様にご迷惑をおかけすることもありました。そこで先月から、アプリと店舗在庫の直接連携機能もスタートさせました。在庫状況は10分に1回更新され、ほぼリアルタイムです。
また取り扱い品目数も700から3千へと順次拡大予定です。日常生活に必要なものがすべてデリバリーでローソンからお客様に届く。そんな世界も見えてきました。
他の大手ECサイトは巨大センターから商品を発送しますが、ローソンは「全国にあるリアル店舗が在庫場所」であり、より早く、お客様のお手元に届けられる強みもある。クイックデリバリーという領域を新たに切り拓いていきたいと考えています。
◎竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2024年5月27日号