まだ5月上旬、始まってひと月ちょいでテンポ良すぎない? 最終回の9月末まではかなりある。「かなりある」が、必ず終わりはやってくる。あぁ、そのうち「虎に翼」も終わってしまうのだ。「ブギウギ」の時もそうだったが「まだやってるのにロス」が始まっている。早く頭の中を「ロスなのにまだ観られる! 素晴らしいっ!」モードに切り替えなければ……それくらい私は「虎に翼」にも心を掴まれています。
………で、このコラムのお題「虎に翼」の締め切りが迫っているのですがなかなか進まないので、とりあえずここで読書でもして息抜きすることにします。
〜一時間半経過〜
先ほど、新幹線の中でここのところ読み進めていた吉村昭『漂流』を読了しました。史実を元にした長編小説です。
江戸時代、土佐の船乗り 長平が鳥島という無人島に漂着しそこで十二年暮らし続け、ついには帰還する物語。真水もなく、食料は一年のうち半年間だけ姿を現す渡り鳥とわずかな魚介類。仲間がみな先に逝き、自死も出来ず、念仏を心の支えにこの島で生きていく決意をする長平。新しい漂流者たちが合流するなか、時に反目するも、何年もかけて知恵と力を合わせ一艘の船を作りあげる漂流者たち……。
……という内容でした。とにかく主人公はこの無人島での歳月になんとか抗おうとするのですが、読んでいて自然の残酷なまでの繰り返し繰り返しに気が遠くなりました。冬が来て、春になり、夏が来て、秋になり、また冬が来て、春のあとはやっぱり夏が来る。吉村昭、コピペしてるんじゃないか? と思っちゃうくらい恐ろしすぎる通り一遍な大自然。
十二年間、主食がアホウドリの生肉 or 干し肉。最初はまるで主人公たちを警戒せずバンバン捕獲されていたアホウドリも十二年経つと、しだいに人間の姿を見て逃げ出したり威嚇したりするくらいになるという歳月の長さ……。
自分だったら、辛いなぁ。ホントキツい。