また、斎藤知事の「パワーハラスメント」については、ある県職員が、「有名な話です」と認める。

「エレベーターで行先の階のボタンを押し間違えて知事から10分ほど怒鳴られた、訪問先でエレベーターがすぐ来ず待たされて職員にブチ切れたとか、知事のパワハラのエピソードにはこと欠きません」

 兵庫県にこの証言について確認をすると、
「告発文書の内容については、斎藤知事が記者会見で述べたことがすべて」
というばかりだった。

 W氏は4日、県の公益通報制度を利用して、正式な内部通報をしたことを明らかにした。これからは弁護士など外部有識者も交えた「公益通報委員会」による調査が始まることにもなる。

 先の県幹部は、こう漏らす。

「具体性があり、信用性が高いと、告発が一つでも認められれば、斎藤知事は危ないのではないか。パレードの告発は『病気療養している担当職員が話せば大変なことになるのでは』と県庁で話題になっている」

 告発文書の内容について真偽を追及している丸尾牧県議は、こう話す。

「告発文書自体がネットでも流れており、斎藤知事も記者会見で触れている以上、説明責任がある。阪神オリックスのパレードについて、どんな補助金が考えられるのかと県に聞いたが、返事をしてこない。斎藤知事が言うように『噓八百』なら、すぐに回答できるはず。今後は県議会で追及したい」

 W氏にメールで取材を申し込むと、
〈慎重に対応したい〉
 との回答だった。

(AERA dot.編集部 今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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