賀来賢人さん(撮影/横関一浩)

三池監督に「男心をくすぐられた」

 待望の三池組はどんな一座だったのだろうか。

「現場の空気や勢いとか、今この瞬間に生まれるものを大切にされていました。そこに役者を乗せて、どんどんエネルギーを作っていくというか。(新宿)歌舞伎町でゲリラチックな撮り方をしたんですけど、そういうところも、悪いことしてるんじゃないかって、男心をくすぐられて、興奮しましたね。三池さんご自身が本当に楽しんでいるので、それが周りにも伝わって、いい緊張感がありつつもワクワクする現場でした」

 冒頭でも触れたように、長い下積み時代を過ごしてきた賀来さんだが、転機となったのは、18年に放送されたドラマ「今日から俺は!!」の主演だったという。当時をこう振り返る。

「街で普通に人に気づかれるようになりましたし、あの作品をきっかけにお仕事もすごく増えました。見られ方が変わったというか。それまでは『俺、見てもらえてないな』っていうのを感じていたので」

 同作の脚本、演出を務めたのは、実写映画「銀魂」シリーズなどで知られる福田雄一さんだ。賀来さんは、映画「斉木楠雄のΨ難」やドラマ「スーパーサラリーマン左江内氏」(日本テレビ系)など、福田さんが手がけた作品に多く出演している。そのため、賀来さんにコメディー俳優としてのイメージを持っている人もいるだろう。だが、「コメディーが一番難しいです」と話す。

「だからこそ、挑戦し続けたい分野でもあります。映像だと編集次第というのもありますが、舞台だとお客さんのリアクションで、笑いが成立しているかどうかが顕著にわかるので、自分の技量が最も問われると思っています。なので、毎回お客さんと勝負してる感覚になるんです」

 賀来さんはコメディーを「一番緻密で面白いジャンル」と言う。そう思うようになったきっかけは、福田さんが企画、脚色、演出を務めたミュージカル「モンティ・パイソンのスパマロット」(12年)に出演したことだったという。主演のユースケ・サンタマリアさんをはじめ、ムロツヨシさん、戸次重幸さんら、経験豊富な俳優陣が名を連ねていた。

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