台湾のMCC、スターラックス航空の機内。LCCに比べてだいぶ広い(撮影・広橋賢蔵)
台湾のMCC、スターラックス航空の機内。LCCに比べてだいぶ広い(撮影・広橋賢蔵)
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 コロナ禍は我慢していたけど、今年の夏休みはアジアあたりにさくっと、という人も多いのでは。とはいえ円安のいま、飛行機代は節約したい、でもLCC(ロー・コスト・キャリア)はちょっと……。そんな人たち向けの航空会社群がいま、注目を集めている。運賃やサービス面で、LCCとFSC(フル・サービス・キャリア)の中間を狙うMCC(ミドル・コスト・キャリア)だ。日本ではまだ聞き慣れないかもしれないが、近場の韓国、香港、台湾などでは勢いがある。

【写真】機内食としては珍しい日本人向けのメニューはこちら

■韓国

 夏休みの東京ーソウル間の運賃をみてみる。運賃が高くなる時期だが、8月11日出発、16日帰国で調べてみた(6月末日調べ)。

LCC:往復で5万円台半ば

(東京ーソウル間に就航するLCCはエアソウル、チェジュ航空、ティーウェイ航空、ピーチ・アビエーション、ZIPAIRなど)

エアプレミア:往復で6万円台半ば

FSC:7万円台半ば

(東京ーソウル間に就航するFSCは日本航空、全日空、大韓航空、アシアナ航空など)

 エアプレミアは、LCCを運航するチェジュ航空がつくった会社だ。2021年に運航を開始した。運賃的にみるとまさにミドルクラス。予約クラスによって違いはあるが、預ける荷物は無料。FSCとの違いは機内食ぐらいだろうか。

 日本との往復は最近、エアプレミアになったというソウル在住の飲食店チェーンの経営者、Hさん(55)はこういう。

「以前はアシアナ航空でしたが、エアプレミアは、それよりいつも10万ウォン(約1万1千円)ほど安い。でも座席はアシアナ航空と同じぐらいの広さ。LCCより楽です。アシアナ航空のようなしっかりとした食事は出ませんが、マフィンなどのパン類とコーヒーは無料で出ます。2時間半ほどのフライト。私にはちょうどいい。難点は週5 便しかないこと。毎日運航になればいいんですけど」

 ソウル在住の日本人デザイナーのSさん(45)も最近、エアプレミア派に。その理由は「LCC特有のストレスがなくて楽です」とのこと。

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日本でいえば日本航空や全日空に飽きた客層をつかんだ