「日経平均株価が上昇の道半ばにあると考えた時、25日移動平均線で言えば、足元の株価が7%以上、上回った時には売りのタイミングです。そして移動平均線に比べてプラス5%未満であれば、買い戻しのタイミングと考えるとよいでしょう。移動平均線との乖離率を参考にする投資法は、意外に多くの投資家が利用しています。ただし、『押し目(一時的な下落局面)待ちに押し目なし』という相場格言があることも心にとめておくようにしましょう」(平野さん)

 では、具体的にどんな銘柄を選んだらよいか。平野さんが注目する銘柄が上の表だ。前述したように、これから循環物色が進むうちに買われそうな建設会社や鉄鋼メーカーの中でも、投資指標の面で出遅れ感が強かったり、成長が期待できたりする銘柄を挙げた。

 このうち中堅建設会社の奥村組は、配当利回りが4.43%と比較的高く、PBRも1.08倍と割安だ(3月1日終値時点)。特に配当政策として、22~24年度は連続増配が実現しやすくなる「自己資本配当率(DOE)2.0%を下限」とする株主還元方式を採用。市場からも評価されている。

 トヨタ自動車系の特殊鋼メーカー、愛知製鋼も、特にPBRが0.35倍とその低さが際立つ。また、ニチモウは食品事業をはじめ、漁網や漁具など海洋事業や食品加工機械、資材や物流といった事業を手がけ、バランスよく収益を上げつつある点が魅力という。

 独立系のソフト開発会社、アドソル日進や、ワイエイシーホールディングスは、ほかの銘柄に比べると株価指標の点からみた割安感は小さいものの、成長性に期待できるとしている。

(AERA dot.編集部・池田正史)

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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