その条件の一つは「循環物色」が進み、投資の対象が幅広い銘柄に広がっていくことだ。循環物色とは特定の業種や銘柄からほかの業種や銘柄に買いの動きが移ることをいう。

 これまでの急速な上昇局面では一部の半導体関連株に買いが集まっていると指摘されてきた。平野さんは言う。

「確かに、半導体関連の株価はすでにかなり値上がりし、利益確定の売りが出るタイミングではあります。とはいえ、いったん株価が下がっても、方向転換して下落に向かうわけではないと考えています。今後は循環物色の中で、銀行や鉄鋼、建設といったバリュー株が買われていく必要があります。銀行や鉄鋼、建設、そしてまた半導体と、循環物色が続くようなら、上昇はまだまだ終わらないでしょう」

 投資にあたっては、いったん値下がりする場面があったとしても、上昇は続いていくと考えられるため「とにかく相場についていく」ことが大事だと強調する。一時的に下落するような場面では買い、また株価が安くなったら買う、ということを繰り返すべきだという。

 ただし、そうはいっても、お金には限りがある。そのため高値をつける場面では、安値で買うための資金を得るための利益確定の売りを出すといいとしている。

 こうした高値や安値を判断するのに必要な目安の一つが、移動平均線からの乖離率だ。

 移動平均線は、一定の期間の株価を平均した値をつなげて折れ線グラフで示したもの。例えば、5日の期間の平均値を出す場合は5日移動平均線、25日間なら25日移動平均線などと呼ぶ。足元の株価や値動きを示したグラフと比べたりすることで、株価のトレンドや相場の方向性をみる上で参考にする投資家は多い。

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