マンガ/上大岡トメ
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 新潟で不登校の子どもたちのためにフリースクール「寺子屋ありがとう」を経営している岸本達也さんという男性がいる。

 彼は、かつて船乗りだった。

 ところが、彼は病気になって、体調を壊した。休職と復職を繰り返す日々。

 めまいがするために船にも乗れなくなった。

 休職しているときに、友人から相談を受けた。

「子どもが不登校になって高校を辞めたんだ」

「僕、時間あるし、勉強みてあげようか?」

 ということで、友人の子どもの勉強の面倒をみた。

 そして、その友人の子どもは大検に受かった。

 両親にも、その子にも感謝された。

 人に感謝されることが嬉しくて、

「不登校の子供たちのためのフリースクールをやろう!」

 と岸本さんはフリースクールを立ち上げた。

 ところが、思ったようにうまくいかない。

 言うことをきいてくれない子どもたち。

「岸本さんに預けたのに効果ない」と、文句を言う親たち。

「そんなに簡単にできるはずがない」と、冷たい先生たち。

 そんな現実に、岸本さんは「教育委員会が悪い」「モンスターペアレントが悪い」と、いろんな人を責めた。

 それだけでなく、生徒たちとも言い合いをした。取っ組み合いになったこともある。

 そんなある日、取材を受けた。

 不登校の子どもたちのためにスクールを立ち上げた際の思いを熱く語った。

 けれども、それを聞いた記者が言った。

「本当は、岸本さん、自分のためにスクールを開いたんじゃないですか?」

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