あなたは毎日、何℃のお風呂に入っていますか?
血流を整える入浴法で湯量と並んで大切なのが、「お湯の温度」です。
入浴に関する全国調査によると、日本人のお風呂の平均湯温は「41℃」だそうです。
この数字を目にして、「ぬるめだな」と思った人は要注意。きっと、あなたが入っているお風呂は熱すぎます。
高齢者ほど「熱すぎてキケン」なお湯につかってしまう
とりわけ、高齢者になればなるほど、熱いお風呂を好む傾向があります。これは皮膚の「温熱感受性」の劣化によるもの。
皮膚の表面に温点、冷点と呼ばれる熱い、冷たいを感じとるセンサーがあります。じつはこの温点、冷点の数は、年齢を重ねるごとに減っていきます。
最新の研究によると、温点・冷点は、20代と70代を比べると約半分になってしまうというデータもあります。なかでも湯船に入るとき、最初にお湯に触れる足先の温点・冷点は、20代に比べ、70代では3分の1ほどに。
その結果、熱い、冷たい、の識別が鈍くなり、子どもなら「絶対ムリ!」と飛び出すような湯温でも、おじいちゃんおばあちゃんは「ほぉう」と吐息をもらしながら肩までつかることができるわけです。
しかも、とくに冬場はついつい長風呂になってしまいがち。そのとき湯温が高いと、疲労、脱水、血管虚脱(血管がひろがりすぎて、血流が落ち、脳へ必要な酸素や栄養素が届かなくなる)といった症状を引き起こす可能性があり、かなり危険な状態です。
湯温は自分の肌感覚だけではなく、「数値」で見て把握しておくべきです。
また、高温のお湯につかることは、入浴のメリットであるリラックス効果を妨げてしまいます。お風呂でリラックスするかどうかは「交感神経」と「副交感神経」の働きと深く関連し、湯温がその切り替えスイッチのような働きを果たしています。
副交感神経の働きが高まれば、精神的に落ち着き、末梢血管も拡張し、血圧は下がっていき、血流が向上。心臓の負担も軽くなります。
一方、交感神経の働きが過度に高まると末梢血管が収縮。末梢の血流が落ちるため、心臓はより多くの血液を循環させようと負担を強いられながら、働くようになります。当然、血圧は上昇してしまいます。
お湯がぬるめか、熱めかによって、入浴時に交感神経と副交感神経のどちらの働きが高まるかが決まるわけですね。