放送作家の鈴木おさむさん

 お笑いコンビのハリセンボンが2023年いっぱいで吉本興業を円満に退社し、二人で別の会社に移籍するというニュース。

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 この話を最初に聞いた時にちょっと驚いた。なぜかというと、「二人で退社」というところだ。

 近藤春菜ちゃんはエージェント契約で、はるかちゃんはマネジメント契約だったので、僕の中では、箕輪はるかちゃんも一緒に辞めたことに驚きました。

 円満というのが、また吉本とともに素敵で。

 ハリセンボンは来年芸歴20年。その節目ということでこの選択をしたのでしょう。

 僕は来年3月いっぱいで放送作家を辞めますが、最初に放送作家を辞めると決めるまで、その選択肢が浮かびもしませんでした。

 人生は当たり前ですが、自分で選んでいくものです。会社に入ったり、結婚したりすると、ずっとその道で行かなきゃいけないと思い込んでしまう。

人生は一回

 人生は自分で選んで生きればいいものなのに、例えば「会社を辞める」という選択肢が頭に思い浮かばなかったりする。

 僕の先輩は奥さんともに20代で結婚しました。そして子供も成人し、大学を出て就職しました。奥さんは20代はずっと育児に明け暮れていたそうです。

 子供が独り立ちして、自分は50代。奥さんは自分の人生を振り返り、「まだ間に合う」と思ったらしく、夫婦で話し合って離婚をしました。仲悪くなっての離婚ではない。

 そして奥さんは離婚し、今、働いて、自分のために生きているようです。

 これを最初に聞いた時に驚きましたが、「そうか! そういう生き方もあるのか」と思いました。そして人生一回なんだよなと。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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ハリセンボンのこの「選択」