次いで多かったのは、17件で9位に入った前明石市長の泉房穂氏だ。枝野幸男、小沢一郎など立憲民主党の重鎮を押さえて上位に入った。明石市で少子化対策に力を入れ、出生率を改善させた実績がある。泉氏を選んだ理由を見てみると、
〈真っ当な考えを持って即行動できる人がこの人しかいない〉〈政治家としての哲学をしっかり持っているうえ、国民目線の政策立案と実行に実績がある〉〈国民を犠牲にしない〉〈国家行政に手腕を振るわれることを期待〉
といった回答があった。
角谷さんはこう話す。
「自民党でも野党・無所属系でも、おカネにクリーンで、今までの政治を変えてくれそうな、期待感を抱かせてくれる政治家が選ばれている印象です。『政治をこういう状況に変えていかないといけない』という国民の危機意識が表れているように見えます。『安全運転より突破力』がいまの政治には求められているように感じます」
安倍派5人衆の名前は挙がらず
こうした変化は、今回のアンケートでまったく挙がらなかった政治家を見ても表れている。
自民党で影響力を持ち、「安倍派5人衆」と呼ばれる、松野博一衆院議員、西村康稔衆院議員、萩生田光一衆院議員、高木毅衆院議員、世耕弘成参院議員には、1件も回答が寄せられなかった。
また、ポスト岸田としてたびたび名前が挙がってきた茂木敏充幹事長や鈴木俊一財務相、さらには加藤勝信衆院議員、田村憲久衆院議員といった有力議員らの名前もなかった。
「派内の総裁候補といわれる安倍5人衆の誰もがこのランキングに出てこないというのは象徴的なこと。これまでの自民党の政治力学が働いていれば、5人衆の誰かの名前があがってきたはずです。『今までの自民党の力学に従ってはダメだ』という国民の意識が感じられます。こうなってくると、これまで派閥の論理で動いていた自民党総裁選も変わってくる可能性があります。今回のようなアンケートで上位に名前があがっても、派閥の論理で総裁になる可能性が低いことが多かったですが、今回は石破氏らにチャンスが出てくる可能性があります」(角谷さん)