いずれもLINE登録に誘導し、その後、投資の勉強などを理由に暗号資産での送金や銀行振り込みが持ちかけられるケースが多いといい、数百万円を騙し取られた被害者も出ているという。
なりすまし広告は、その9割がFacebookかInstagramに掲載されており、
「メタ社は広告の内容をチェックする機能が薄いことで有名」
と指摘する。また、
「これらの広告は海外の詐欺集団が関わっている線が濃厚と言われている。そのため、詐欺に遭っても事件化がなかなかできないのが実態」
と内情を語った。
責任はプラットフォーム側にも
なりすまし広告を作成、掲載する広告主に悪意があるのは間違いないが、「責任はSNSなどのサービスを提供するプラットフォーム側にある」と指摘する専門家もいる。
詐欺広告対策の第一人者でもあるクロスワーク株式会社代表取締役の笠井北斗さんは、10数年前から偽広告などのネット広告の問題性について言及してきた。
「プラットフォームは広告手数料で儲けているのですから、今回のようななりすまし広告などの不適切な広告を取り締まる義務があります。不適切なネット広告の排除を各社しているものの、メタ社はその取り組みをしておりません。なので、詐欺師にとっては非常にありがたい存在になっているのです」
笠井さんによれば、不適切な広告の排除はそこまで難しくないと語る。
詐欺広告を出稿するアカウントを排除するほか、被害が多発している広告で使われている語句を登録し、同じような広告が出稿されたときに自動で弾くだけでも大きな効果があるという。
笠井さんが続ける。
「メタ社が変わらない限り、被害は続いていく。私たちにできることは、InstagramやFacebookに表示される投資や仮想通貨の儲け話はタップしないこと。もしタップしてしまった場合は、絶対に広告ページ内のLINE追加をしないこと。美味しい話は存在しません。ただそれだけです」
(AERA dot.編集部・板垣聡旨)