「ゴキブリハンター」の語る魅力
ゴキブリへの愛情があふれて「ゴキブリスト」を自称しているのが、静岡県の「磐田市竜洋昆虫自然観察公園」の職員、柳澤静磨さんだ。同館はゴキブリの展示が充実し、「業界」では有名なのだという。
柳澤さんにとってゴキブリの魅力とは、「嫌われている」ことだと言う。
「嫌われているがゆえに誰でもその名前を知っていて、人間との関係が深く、つい気になってしまう。これは他の虫にはない魅力だと思います」
ちなみに、「家のリビングでもたくさん飼っています。妻からも特に何も言われません」。
ゴキブリはほかの昆虫に比べ、飼いやすいという。
「まず、えさが用意しやすい。雑食性なので、モルモットのえさなど基本的に人工飼料はどれでも食べます。サツマイモやキャベツなどの野菜類も食べる」
ゴキブリ同士で共食いもほとんどしないので、えさを十分に与えていれば、「勝手に増えていってくれます」。
飼育にあたって最も注意すべきなのが「脱走」だ。柳澤さんは、
「壁をよじ登れる種類のゴキブリだと、入れ物のふたを開けた瞬間に逃げ出してしまう。初めて飼うときは、脱走しにくい種類のゴキブリを飼ったほうがいい」
とアドバイスする。
一般に飼育されるゴキブリとしては外国産が多いが、「日本のゴキブリを飼ってみたい」と、自分で捕まえる人もいるそうだ。国内には約60種のゴキブリがおり、その多くが森林や草原などに生息しているという。
「ゴキブリハンター」としても知られる柳澤さんは、
「ほとんどが夜行性なので、夜に捕りに行くことが多いです。虫捕り網を使うことはほとんどありません。手でつかんだり、小さなケースを上からかぶせたりして捕まえます」
と話す。
しかし、動きに慣れないと、捕まえるのはなかなか難しいという。
「ゴキブリは体が軟らかいので、手に力を入れすぎないようにしないと、せっかく捕まえても潰してしまうんです」