人はみな、それほど違わない

 当たり前のことですが、縁ができるには「他人」が必要です。しかし、「他人」は自分と違います。

 だから、ぶつかる、もめる、思いが通じない……などの問題が生じます。

 それがストレスとなり、悩みとなり、収まりのつかない感情が暴れ出し、鎮めるには時間がかかったり、我慢して鎮めようとする自分に無力感を覚えたりするのではないでしょうか。

 以前、空海の本を読みました。そこで、「生きている人間の差って何ですか?」という問答のようなやりとりが出てくるのですが、

「この人と、この人の差って何ですか?」という問いに対して空海は、

「私とあなたは変わらないんですよ。差なんて紙一重なんですよ。人間はつながりの中で生きているから、私があなただったかもしれないし、あなたが私だったかもしれないし、ほんの少し間違えていれば会わなかったし、ほんの少し間違えていれば、この立場はあっという間に逆転するものなんですよ。世ってそういうものなんですよ」

と、答えています。

たしかに、自分には親が2人いて、両親にもそれぞれ親が2人いて……と考えると、2人から4人に増え、4人から8人に増え……と、2倍に増えていき、6代遡れば64人くらいとつながりができます。

「知人の知人の知人……と、6人くらい辿たどれば、有名人に辿り着く」という話も聞きますが、あながち間違いではないでしょう。

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?
次のページ
一人というミクロの視点から