ロサンゼルス・エンゼルスとの契約が切れた大谷翔平の移籍先はどこになるのか。米メディアで唯一の大谷番記者を務め、『ルポ 大谷翔平』の著書もある在米ジャーナリストが行方を占う。AERA 2023年11月20日号より。
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テキサス・レンジャーズが球団史上初のワールドシリーズ優勝を成し遂げて幕を閉じた2023年の米メジャーリーグ。しかし、別の戦いが既に始まっている。
これから数カ月間かけて、各球団が来季に向けた戦力アップのため、有力選手をめぐり熾烈な争奪戦を行う。メジャーでは、選手が良い給料や条件を求めて他球団に移籍したり、球団が弱点を補うために選手をトレードしたりということが頻繁に行われる。流動性の高いアメリカ社会の縮図だとも言える。
名実共に野球界の頂点
そんなオフシーズンの補強合戦で最も注目を集めるのが大谷翔平である。18年の渡米時から所属したエンゼルスとの契約はワールドシリーズ終了の翌日に切れて、大谷は好きな球団と契約できるフリーエージェントとなった。
この3年間の活躍で、大谷は名実ともに野球界の頂点に上り詰めた。初めて投打の二刀流で戦い抜いた21年には、満票でアメリカン・リーグのMVPを受賞。翌22年にも、それを上回らんばかりの活躍。今季は、最後の1カ月を怪我で欠場したにもかかわらず、17日に発表されるMVPの受賞を確実視されるほどの圧倒ぶりだった。
大谷は、すでに野球専門誌ベースボール・アメリカの年間最優秀選手にも選ばれている。こちらは両リーグ合わせて1人しか選ばれない。
「すでに球界屈指の才能を発揮してきた大谷だが、またもや自身を向上させる方法を見いだした」とカイル・グレーザー記者は選出理由をつづった。「彼は球界で最も危険な打者であると同時に、最も打たれにくい投手でもあり、これまで以上の無双ぶりだった」
メジャー最高レベルの打者と投手の活躍を一人で担える大谷は、優勝を狙うチームにとっては、喉から手が出るほど欲しい存在なのだ。大谷が今オフの最有力フリーエージェントであることに異論を唱える識者はいないだろう。