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 いま、売春を目的に海外に渡航する日本人女性が増えている。性風俗業で働く当事者らを支援する団体などの元にも、出稼ぎの女性が現地でトラブルに巻き込まれるなどして相談が来るケースが増えているという。

【救出は容易ではない】在ラオス大使館が出した実際の注意喚起

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「これまでは海外から出稼ぎに来る女性たちの相談が多かったのが、最近は海外にセックスワークに行った日本人が現地でトラブルに巻き込まれるなどして、相談が来るようになりました」

 性風俗業で働く人々を支援する当事者団体「SWASH」メンバーの要友紀子さんは、こう話す。

日本人のセックスワーカーが警察に

 要さんによると、海外に拠点を置く支援団体で、日本語での対応が常時可能な団体はほぼ存在しない。そのため、現地の支援団体から「いま、警察に連行された日本人のセックスワーカーが、セックスワーク経験のある支援者と日本語でのコミュニケーションを希望している」と問い合わせが入ることもあった。

 現地の支援団体が日本人のセックスワーカーをサポートしようにも、その人が英語を流暢に話せない場合などは、特に精神的ケアが難しいためだ。

 さらにSWASHの元には最近、オーストラリアのセックスワーカー支援団体から、「日本語で書かれた性感染症予防についての啓発資料を送ってほしい」という依頼があった。オーストラリアで日本人セックスワーカーが増えていることを背景に、「日本人セックスワーカーに配布したいから」というのが理由だという。

「海外で働く日本人セックスワーカー向けの情報が必要になる時代が来るなんて、10年前には思ってもみませんでした。これまで海外では、移民セックスワーカー向けに、困った時の相談先などが書かれたパンフレットが英語、中国語、韓国語、タイ語などで用意されていましたが、そこに日本語が加わる時代が来たのです。不況が長引く中、いずれこういう日が来るとは思っていましたが、ついに来てしまったかという印象です」(要さん)

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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