作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。今回は松本紹圭さんがインドにMBAを取りに行った経緯を伺いました。
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松本:私はどこまでいってもこの寺(光明寺)の跡継ぎではないんで。逆にそうじゃないからこそ、いろいろ自由にやらせてもらいましたね。
大宮:例えばどういうことを?
松本:さきほど見ていただいた本堂の横にあるお寺カフェのスペース。あそこ、最初は何もなかったんですけど、ここは気持ちがいいなと思って、いすとテーブルを置きました。
大宮:すてき! 住職に反対されなかったんですか。
松本:住職のお母さんが「都心にあるお寺だから、いろんなことをやってみる責任があるのよ」と言ってくれて。
大宮:結果、どうだったんですか。
松本:20年前に始めて、みんなの憩いの場になっているから、よかったと思います。この辺りで働く方たちが、お弁当とか持ってきてゆっくりしています。メニューはコーヒー、紅茶、あとお坊さん手作りのお菓子があって。おさい銭制でやってます。
大宮:松本さんがコーヒーを出されてるんですか。
松本:自分だけではできないんで、就職が決まらなくて困っていた学生時代の他大の友達に「ここで店長やったら」と声をかけて。のちにお坊さんになっちゃったりとか。
大宮:本当ですか!
松本:ええ。今も店長さんしていますよ。今では、お坊さんの作る和菓子の本まで出されています。
大宮:えー! ほかにはどういう“松本の乱”を起こしてるんですか。
松本:何か仕掛けるにも、もっと「娑婆(しゃば)力」が必要だって思ったんですね。お坊さんの学びのプロセスでは当然仏教を学ぶ機会はあるんです。
大宮:はい。
松本:でも、お坊さんってほとんどが寺の跡を継ぐので、最後の最後、やらなきゃいけないのは、お寺のマネジメントなのに、それを学ぶ要素が全然ないぞ、と。