コロナ禍で延期されていた国体の開会式に出席するため、天皇、皇后両陛下が10月7日、鹿児島県を訪問した。翌日には県の特産物であるサツマイモの加工会社を視察。そこは、若手社員らも交えた、あたたかい交流の場になった。
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「ええと、『この~木、なんの木』に出てくる木です……」
サツマイモの生産・加工を手がける鹿屋市の南橋商事の矢羽田(やはた)竜作社長(45)は、とっさにCMソングの一節を歌った。
というのも、天皇陛下が休憩室に置かれた一枚板のテーブルを気に入り、「すごくよかったです。材質は?」とたずねてきたのだ。
しかし、名前が出てこない。あせった矢羽田さんは思わず「CMで有名な木です」と歌ったのだ。答えは、モンキーポッド(アメリカネムノキ)。野生のサルが実を好んで食べたことが名前の由来だといわれる。
幸い、すぐに雅子さまが答えに気づいてくれた。
「ああ!」
おふたりは顔を見合わせると、
「あの木なんですね」
と笑った。
南橋商事は、平均年齢20代後半の社員9人と規模は小さいが、数年前から香港など海外にサツマイモを輸出するなどして成功し、県内でも勢いのある会社だ。
おふたりには畑で芋の収穫作業を見てもらう予定だったが、外は激しい雨と風。視察はサツマイモの貯蔵庫に変更された。
矢羽田さんは、県の特産品であるサツマイモの品種について説明。そのなかで、陛下らしいやりとりがあった。