俳優・佐藤二朗さん

 個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は共演する「橋本環奈と沢村一樹の凄さ」について。

【音声で聴く】佐藤二朗が「役立たずの美学」を語る!?

*  *  *

 ええ。撮影真っ只中です。

 間もなく放送が始まる連続ドラマ「トクメイ!警視庁特別会計係」の撮影真っ只中です。

 タイトルから分かる通り、いわゆる「刑事モノ」。今まで数多、本当に数多創られてきた「刑事モノ」。無論、その中には傑作と言えるような作品が沢山あり、僕自身も大好きな作品がいくつもある「刑事モノ」。日本の、というか、日本に限らず俳優は最低でも一度は演じることになるであろう「刑事モノ」。

 かように、どうしても過去のドラマと比較される運命にある刑事モノですが、実は本作、警察の「お金」にフォーカスしたオリジナル作品。警察組織の経費削減の「特命」を背負った警察官がクセ者ぞろいの刑事たちとぶつかりながら事件を解決していくストーリー。その着眼点に惹かれて、この船に乗船することにした次第。

 主演は橋本環奈。本人が「私の共演回数の最多は二朗さん」と話す通り、この人とはたくさん共演しています。「俺が橋本のストーカーではない。橋本が俺のストーカーなのだ!!」という冗談が飛び出すほど、偶然ではありますが多く共演しています。

 通常、若い方々も年長者と接する時に多少は気を遣うでしょうが、年長者もまた、若い方々と話す時は多少の気を遣うものだと思うんです。しかし橋本が凄いのは、自分の父親ほど年齢が離れたオジサンにも全く気を遣わせない。気を遣わなくていいとオジサンに思わせてくれる。これ、結構凄いことだと思うんです。

 多分ですが、自分に気を遣う人には、こちらもまた気を遣ってしまうように思います。ところが橋本はオジサンにも全く気を遣ってないように見える。頭のいい人ですから、恐らくさりげなく気を遣ってると思うんですが、そのさりげなさが抜群にウマイので気を遣ってないように見える。だからこちらも「あ、この人には気を遣わなくてもいいか」と思える。思わせてくれる。だから話すのも凄くラク。ラクだし、愉しい。

著者プロフィールを見る
佐藤二朗

佐藤二朗

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家、映画監督。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や映画「幼獣マメシバ」シリーズの芝二郎役など個性的な役で人気を集める。著書にツイッターの投稿をまとめた『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)などがある。96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がけ、原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)がBD&DVD発売中。また、主演映画「さがす」が公開中。

佐藤二朗の記事一覧はこちら
次のページ
敬愛する先輩俳優「僕はこの人の芝居が大好き」