16歳のときのMIOさん(画像=本人提供)

「人の感情を『データで理解しよう』と考えたんです。私にとって映画は、いろいろな登場人物からさまざまな考え方のパターンが学べる存在でした。映画を見ながら、『どうしたら人が喜ぶか』とか『どういう人が素晴らしいとされるのか』などの情報を頭の中にインプットしていきました」

 人間の感情の機微を、映画を通じて自分の中に取り入れ、『好ましい行動』『好ましくない行動』とカテゴリー分けしたうえで、前者をまねて再現する……。他者といかに調和するかというのは、周囲との自然な関わりの中で身につけていくことかもしれないが、人より頭脳が“優れすぎていた”MIOさんの場合は、論理が感情に先行した。

 また、MIOさんの場合、「映画の面白さ自体はなかなか理解できなかった」という。これも普通ではないポイントかもしれない。

「もちろん子ども向けの作品も見ていましたが、あまり得意ではないものもありました。例えばジブリ作品がそうでした。嫌いというよりも、私の理解しているものと違うことが起きることに混乱してしまっていました。そういう曖昧さが当時は受け入れられなかったんです。なので、歴史物やノンフィクションが一番好きでした。中学生になるころに『シンドラーのリスト』(第2次世界大戦下でユダヤ人を虐殺から救済した実業家のノンフィクション映画)を見て、『とても分かりやすい!』と思っていました」

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両親から必要されなくなるのではという恐怖心