代表ジャージと飛行
ISSでのミッションは、チーム力が問われます。私が2021年に長期滞在したときは5カ月間船長を務めました。ISSに滞在する宇宙飛行士7人全体のチームづくり、緊急時や特別な作業をするときの少人数でのコミュニケーション、地上とのやりとりなど、局面局面でのチームプレーの使い方を考えていました。
観察力と状況判断力が求められるのもラグビーと似ていますね。目の前の作業だけではなくて全体を見渡してどこで何が行われているのかを把握しながら、仕事を進めます。
大学を卒業してからも、ラグビーはずっと好きです。念願かなって宇宙飛行士になり、08年にスペースシャトル「ディスカバリー」で初めて宇宙飛行した際は、ラグビーの日本代表ジャージを、一緒に飛行する「クルー・オフィシャル・フライト・キット」に含めました。また、ISSではラグビーボールを使ってパスもしてみたんです。21年にISSに長期滞在したときのミッションロゴもラグビーボールをイメージした楕円形。私が考えたデザインではありませんが、自分の原点を表した、いいものをつくっていただいたと思っています。
いよいよワールドカップですね。今回はフランス大会ですが、21年にISSで共に活動したフランスのトマ・ペスケ宇宙飛行士もラグビー経験者なんです。連絡を取り合って、ラグビーの話題で盛り上がるのが楽しみです。
宇宙飛行のミッションは、何年も準備して訓練を重ね、本番を迎えます。ラグビー日本代表も前回大会からの4年間をこの大会のために過ごしてきたことでしょう。悔いのない、素晴らしい戦いをしてほしいと願っています。
星出彰彦さんが選ぶ注目選手


まずはスクラムハーフの選手。流大、齋藤直人、福田健太の3選手が選出された。スクラムのなかにボールを入れ、後ろに回ってボールを取り出す役割を持つ。パスを供給して攻撃の起点となるポジションで、判断力や俊敏性が必要だ。
「私がスクラムハーフだったということもあります。体格の大きくない選手が活躍するポジションで、どんなプレーを見せてくれるか楽しみです」
過去の大会を経験したベテランにも注目する。
「私自身3回宇宙飛行を経験しました。1度経験すると、プレッシャーの感じ方や準備の仕方が変わる。そうした経験値をどう初選出の若手とミックスするか。ベテランの手腕に期待します」
(構成/編集部・川口穣)
※AERA 2023年9月18日号
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