“ゴミ屋敷”には見えない容疑者親子の自宅

 札幌市の繁華街・ススキノのホテルで殺害された会社員男性(62)の首を切断し、自宅に持ち運ぶなどしたとして、親子3人が逮捕された事件。用意周到な犯行をうかがわせる半面、頭部を自宅に置いたままにしておくという不可解な面もある。専門家は、3人の精神状態を含め「真相解明はまだまだ遠い」と話している。

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 これまでの調べでは、田村瑠奈容疑者(29)は、7月1日夜に会社員男性とホテルに入った後、1人でスーツケースを引いてホテルを出たとみられており、迎えに来た父で精神科医の修容疑者(59)が運転する車で、会社員男性の頭部を札幌市厚別区の自宅に持ち帰ったことなどがわかっている。

 ある捜査関係者がこう語る。

「殺害した相手の頭部だけを持ち去るという、非常に特異な犯行。捜査の最大のポイントが、頭部を発見できるかどうかだったが、早いタイミングで2階の浴室から見つかった。腐敗がかなり進み、臭いが強く、時間はかからなかった。家の中は廊下までものが散乱し、“ごみ屋敷”のような状態で片付けに手間がかかった」

家宅捜索でクーラーボックスも押収

 家宅捜索では、ホテル近くの防犯カメラに映っていた、瑠奈容疑者とみられる人物が着ていたとみられる全身黒ずくめの衣装や、変装のためのウィッグ、クーラーボックスも複数押収されているという。

 また、瑠奈容疑者と修容疑者は、事件以前に自宅近くのホームセンターでノコギリとスーツケース、ナイフを購入していたことも確認された。黒っぽい服やウイッグを買っていたこともわかった。

「犯行は非常に計画的。実際にホテルの部屋で男性と会って、犯行に及んだのは瑠奈容疑者だけとみられるが、ホテルの部屋から瑠奈容疑者の指紋はまったく検出されていない。手袋などをしたうえでの犯行では。ホテル周辺の防犯カメラから、瑠奈容疑者と示し合わせたように、修容疑者が迎えに行き、自宅に戻っていたことがわかった。あれだけ大きなスーツケースを瑠奈容疑者が持ち帰っているので、浩子容疑者(60)も犯行に及んだことを知っていたとみられる。一家全員が共犯関係ということになる」(前出・捜査関係者)

 頭部を浴室に置いておけば腐敗し、いずれは犯行が発覚しかねないことは、普通に考えれば十分わかるはず。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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