マンガ/上大岡トメ
マンガ/上大岡トメ
この記事の写真をすべて見る

 何歳になっても人を楽しませることができる人でいたい。

 だから、わたしは、「笑い」にこだわっている。

「どんな話をしたら、人が笑顔になってくれるか」

「どんな話がおもしろいか」

 いつも探している。

「楽しい」は、「楽(ラク)」という漢字を書く。

 笑って、楽しい気分になってもらえたら、その人は「楽(ラク)」になると信じている。

 とはいえ、別に「笑い」だけが、人を楽しませるとは思っていない。

 人を楽しませることができるものは、他にもいっぱいある。

 また、人によって「楽しい」ものは違う。

 詩吟が楽しい人もいれば、テニスや野球などのスポーツが楽しい人もいるし、絵画や書道が楽しい人もいる。

 だからそれぞれの人の楽しませ方もまったく違う。

 相手を楽しませようとして、ドライブに連れて行っても、その人が車酔いする人なら、ドライブが楽しくないかもしれない。

 だからこそ、その人が「何が楽しい」かをリサーチすることも大切。

 だって、相手が笑顔になったら、やっぱり、自分も楽しくなる。そんな笑顔の連鎖をつくりたいと、わたしは、いつも思ってきた。

「そんなこと言うけれど、人を楽しませるのは難しい」

 と、言う人もいる。

 そんな人には、わたしの母の話をしている。

 わたしの母は、70歳を過ぎて、何を思ったのか、マジックを習いだした。

 近所の公民館で数千円で教えてもらえるらしい。

 最初は、誘われて、断れずにマジック教室に参加しただけだった。

 ところが、母親は、その先生を気に入った。

次のページ