各地に春一番も吹き始め、寒さと暖かさが交互におとずれる3月になりました。
そろそろ気になるのは、今年の桜はいつ咲くかということ。全国には桜(ソメイヨシノ)の開花を告げる標本木があり、東京都心では「靖國神社」にあります。その境内で、毎年春の宵に開催される「奉納 夜桜能」。お能をまだ一度も観たことがない方も、今年は桜の花の下、しばし夢幻の世界へただような体験をしてみませんか?
今年の桜の開花予想は、昨年とほぼ同時期。東京都心は3月26日ごろです
美しく四季が巡る国・日本。今年もまもなく春本番がおとずれ、南から北へ、列島が桜色に染まりゆく季節がやってきます。
日本気象協会・2015年桜開花予想では、桜(ソメイヨシノ)の開花はおおむね全国的に平年並み。四国や近畿では、平年より早くなる見込みだとか。
3月中旬の高知にはじまり、3月下旬には九州から関東南部、4月上旬には関東北部や北陸、4月上旬から下旬に東北と、桜前線は順を追って北上していくとの予測です。
※日本気象協会2015年2月26日発表・日本全国48地点の桜(ソメイヨシノ)開花予想第2回より
東京都心での開花予想は、現時点では平年並の3月26日ごろ。これから毎週金曜に、《開花日》と《満開日》の最新予想が発表されていきますので、サイト内の「桜情報」をチェックしてくださいね。
東京都心の桜開花を告げる標本木がある「靖國神社」。「奉納 夜桜能」は春を寿ぐ風物詩
毎年桜の開花予想を出すために、日本各地に基準となる標本木が決められているのをご存じでしょうか。東京都心ですと、千代田区九段下にある靖國神社に、観測される桜の木が。
この標本木が、5~6輪の可憐な花をつけたときが桜の《開花日》となり、80%以上のつぼみが開いた最初の日が《満開日》となるのです。
千鳥が淵公園の向かいにある靖國神社もまた、毎年大勢の花見客でにぎわう都内有数の桜の名所。「千代田のさくらまつり」期間中は、たくさんの露店が軒をつらね、夜に「奉納 夜桜能」が行われます。
第23回を迎える今年の「夜桜能」開催日程は、4月1日(水)、2日(木)、3日(金)の3夜。境内の一角に佇む120年の歴史を重ねた木造能楽堂および内苑にて、毎夜18時40分より開演されます。
さてさて、今年の夜桜能の花景色は、つぼみか、葉桜か、はたまた満開か…
明治のころその多くが建物の中に移された能舞台ですが、その原型が奈良の春日大社に残されているように、そもそも戸外に吹きさらしで建っていたもの。今も神社で行われる能には、神様にささげる奉納神事としての意味合いもあり、「夜桜能」もその流れをくんでいます。
プログラムは、毎夜かがり火をともす「火入式」にはじまり、「舞囃子」、「狂言」、「能」の3部構成。昨年人間国宝となられた梅若玄祥をはじめ宝生和英、田崎隆三。狂言では、野村万作、野村萬、野村萬斎など当代一流の演者ぞろいです。
気候次第で、つぼみか、葉桜か、満開か……毎年異なる一期一会の風景に包まれる「夜桜能」。昨年とほぼ同時期の開花が予想される今年は、昨年と同様、満開の桜景色の中で繰り広げられるのではないかという、期待も大きくふくらみます。
春の宵、次第にくれゆく闇のなか、かがり火に浮かび上がる桜花と、能面をつけて舞う能役者との美の競演は、まさに夢幻の世界。風にのって天空へと響き合う笛(能管)や小鼓(こづつみ)、大鼓(おおづつみ)の緩急鋭いリズムと繊細な音色、朗々と流れる謡の旋律に導かれ、しばし非日常のひとときに五感をただよわせ、酔ってみるのも一興です。
世界無形遺産にも指定されている能を、一度は観たいと思いながらも敷居が高いかなと躊躇していた方も、今年こそは夜桜見物がてらぜひ体感してみてはいかがでしょう。
ただ、春といっても夜はかなり冷え込みますので、暖かい防寒着をご用意のうえお出掛けくださいね。