天皇、皇后両陛下は6月9日、結婚から30年を迎え、「喜びを分かち合い、そして時には悲しみを共にし、これまでの歩みを進めてこられたことに深い感謝の念を覚えます」と文書で感想を寄せられた。喜びも悲しみも分かち合ってきた軌跡を写真で振り返る。
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■「全力でお守りします」誰しもの記憶に残るプロポーズの言葉
天皇陛下と雅子さまとの出会いは1986年――6年後の92年8月に再会し、10月、千葉県市川市の新浜鴨場で皇太子さま(当時)からプロポーズされた。熟考されたのち、雅子さまは同年12月、「殿下のお力になれるのであれば、謹んでお受けします」と皇太子さまに伝えられたという。
いまも記憶に残るのは「全力でお守りします」という言葉を明かした婚約内定の会見だ。
93年1月19日の婚約内定記者会見で、陛下からかけられた言葉に関しての質問に雅子さまは、
「殿下からは私の心を打つような言葉をいくつかいただきました。ひとつは去年の11月の後半、『皇室に入るのはいろいろ不安や心配がおありでしょうが、雅子さんのことは僕が一生、全力でお守りしますから』と話しかけてくださいました」
■結婚の儀の後のご成婚パレードは国民が幸せな気持ちに
93年6月9日、皇居・宮中三殿で「結婚の儀」が行われた後、皇居から東宮仮御所までの4.2キロをオープンカーでパレードした。あいにくの雨模様だったが、沿道にはおよそ19万人が詰めかけ祝賀ムードに包まれた。NHKの中継の視聴率は30%を超え、その映像は30年たったいま見ても、幸せなオーラがあふれている。
パレードでの雅子さまは、ローブ・デコルテにバラのモチーフの白と金の飾りを付けた半袖ジャケットを羽織り、オープンカーに乗るまでは緊張した様子だった。とても初々しかった。
祝賀パレードで使用された黒のロールスロイスは、ことし5月30日に、天皇ご一家が鑑賞された天皇陛下即位5年、両陛下の結婚30年を記念する特別展に、展示されていた。そこでは、天皇、皇后両陛下の長女・愛子さまが陛下に、プロポーズを「再現してみて」とリクエストし、陛下が照れ笑いされたという。30年の時を経て、ご一家で振り返るというのは、格別に感慨深いものだろう。