あざとさ全開で家康を誘惑したお万(松井玲奈)。男は欲しいものを戦(いくさ)で手に入れるが、女は戦わずして手に入れる。「政(まつりごと)も女子(おなご)がやればよいのです」と、NHKドラマ「大奥」を見てきたかのような発言。
今後出てくる於愛(広瀬アリス)は夫を戦乱で亡くし、幼子を連れて側室となるので、きっとシングルマザーの苦労と待機児童問題について語ってくれるにちがいない。
さて本作の脚本はドラマ「コンフィデンスマンJP」(フジテレビ系)で知られる古沢良太。
カネの亡者から大胆に金を騙し取るコンフィデンスマンの物語は、毎回クライマックスに時間が逆戻りし、詐欺の緻密(ちみつ)な仕掛けをネタばらしする。
この「家康」でもそんな「実は……」がたびたび挿入されるのだ。時間がさかのぼり、実はあの時こんなことが……という回想場面五月雨のごとく。
まさかの逆流大河ドラマか。これからどうやって大海原にたどりつくのか黄泉にて見守るううううううううう。う、長い。
カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など
※週刊朝日 2023年6月9日号