マンガ/上大岡トメ
マンガ/上大岡トメ
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 わたしは、幼い頃から母にこう教えられた。

「嫌なことがあったら、ぐっすり寝たらいいねん。朝になったら忘れてるから」

 だから、嫌なこと、つらいことがあると、とりあえず寝るようにしている。

 不思議なもので、朝になったら悩みなんて忘れていることもよくある。

 それどころか、悩んでいたことさえ忘れていることもある。もちろん、そんな楽な悩みばかりじゃない。

 それでも、一晩寝るだけで前向きな考えになったり、新しいアイデアが出てくることも結構あった。

 だから、どうしょうもないとき、とにかく、寝るようにしている。

 阪神大震災の時もそうだった。当時、イベント会社を経営していたわたしは、たちまち資金繰りに行き詰った。

 入ってくるお金が無くても、出て行くお金はいっぱいある。

 社員に給料も払わなければならないし、社会保険もコンピューターのリースも払わなければならない。

 毎日、怖かった。

「いつ、終わるのだろう」

「どこまでお金に追われるのだろう」

 そんなことを考え出すと眠れなくなる。だから、とにかく体を動かした。

 神戸まで歩いて行ったり、会社の掃除をしたり、会いに行けるお客さんにはどんどん「お見舞い」と言って会いに行った。

 体を動かすと眠れる。

 そして、明るく元気にお客さんのところに行くと、

「君の会社、大丈夫か?」

「支払い、早めてあげようか?」

 など、優しい言葉をかけてくれるお客さんにたくさん出会った。

 たくさんのお客さんに助けてもらった。

 そして、お客さんに言われた。

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