「0990」と始まる電話番号、NTTのかつての目玉サービス「ダイヤルQ2」(正式名称「ダイヤルキュー」)で使われていた番号だ。情報料金徴収代行サービスである。0990で始まる所定の番号に利用者が電話をすると情報提供の番組につながり、その情報を得る。利用者は情報提供業者から課金されるが、その徴収はNTTが代行し業者から一定の手数料を受け取る仕組みだ。
その番組は多様で、ニュースや人生相談、健康相談から、経済や教育、生活など、音声による有料情報が提供された。また、新手の募金法としても活用されたこともある。大災害が起こると、被災地救援のためテレビ局が「ご覧の電話番号におかけ下さい」と、局が用意した番号を字幕で示して視聴者に番組中で呼びかける。そして、視聴者がかけると、所定の金額が回収される。自動的に義援金が集まるわけだ。阪神・淡路大震災の際もダイヤルQ2は活躍した。
しかしながら、ダイヤルQ2の名を一躍高めたのは、“アダルト業者”であった。居ながらにして確実な集金ができる利点を生かして、さまざまなアダルト情報番組を運営し始めた。
初対面同士のコミュニケーションを生み出す媒体としての特性を目ざとく見いだしたアダルト業者は、「ツーショットダイヤル」と呼ばれる新形式の番組を開発した。その基本的な仕組みはこうだ。男性がダイヤルQ2回線から電話をかけて、1分いくらの情報提供利用料金を負担する。