「喜びや楽しさって、言葉でシェアするのが案外難しいけれど、怒りや不満、違和感みたいなことって、割と共感してもらえることが多いんです。『あ、こういうことに憤りを感じているのは、僕一人だけじゃないんだ』ってわかると、『だったらこの怒りをメッセージに変えられないだろうか?』って、次に何かを生み出すエネルギーになったりする。歴史をたどってみても、結局、何かに強く反発することで、クリエーティブなものや新しいムーブメントが生まれてくるような気がしていて……」
とはいえ、映画の出演は引きも切らず、地上波や配信のドラマでも、出演作は目白押しだ。インプットはどのようにしているのだろう。
「20代の半ばまでは、忙しくするのがいちばん自分の力になると思い込んでいるような仕事人間でしたが、ここ2~3年は仕事以外の時間も大切にするようになりました。時間があればなるべく外に出て、人と会話するようにしています。ドライブが好きなので、車で知らない土地に行って、知らない人と話すだけでも刺激になります。……なんて結局いつも仕事のことが頭の片隅にあるってことなんですけど(笑)。好きなことを仕事にできたことが幸せです」
(菊地陽子 構成/長沢明)
※週刊朝日 2023年5月26日号より抜粋