中学受験家庭で共通して聞かれる「子どもにやる気がみられない」「全然勉強をしない」などの声。2023年に息子の中学受験を経験した関西在住のAさんは、息子であるB君のサポートに終始手を焼き、不安を募らせていたそうです。Aさんの体験談を伺いつつ、中学受験者の中間層にあたる「ボリュゾの中学受験」の現状と理想、また「努力嫌いにみえる子」を伸ばす声かけなどについて、プロ家庭教師・西村則康先生に話を聞きました。

MENU ■入試4日前に自覚が芽生えた ■努力嫌いにみえる子、本当は… ■「偏差値上位ではない子」が挑むケースが増加 ■ボリュームゾーンにとって理想の中学受験とは

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「よく受かったなと思います。うちの息子は石田王羅にそっくりですから」

 苦笑いしながら語るのは、2023年に息子が受験をした関西在住のAさん。息子のB君は、受験した中堅校すべてに合格したというのに、Aさんはなぜか終始自信なさげに語ります。

「石田王羅」とは、中学受験をリアルに描きドラマ化もされた話題の漫画『二月の勝者』の登場人物・石田王羅のこと。作中で「やる気のない子」「マイペースな問題児」として描かれており、B君は彼にそっくりだといいます。

 B君が通っていたのは、関西の最難関校への高い合格率を誇る中学受験塾。周囲には優秀な子ばかりいて、Aさんは息子と周囲に圧倒的な差があることを痛感していたといいます。

「受験準備の後半は塾内で“ボリュゾ”にすら入れていなかったので、よくクビにならなかったなと思います。宿題は義務的にするだけで、答えを写すことも。目を離すと途中放棄するし、集中力がなさすぎて宿題が終わりません。何度言っても時計を見ず、塾はほぼ遅刻。テストではみんなが開始直前にテキストを見直している間、ウロウロしているような子です。もちろん、問題用紙は落書きまみれ。成績が悪くても本人に危機感はなく、とにかくマイペースです」

■入試4日前に自覚が芽生えた

 ボリュゾとは、「ボリュームゾーン」と呼ばれる層のこと。四谷大塚や日能研のR4(日能研生の入試結果をもとに算出された合格可能性80%を示す数値)で偏差値50前後の子どもが該当します。B君の第1志望校はボリュームゾーンの人気校で、偏差値的に厳しいとみられていました。しかし、B君はそれでも第1志望を変えることはなかったといいます。

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東山令
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