ヘンリー王子とメーガンさん(写真:AP/アフロ)
ヘンリー王子とメーガンさん(写真:AP/アフロ)

 6月17日、ロンドンでチャールズ国王(74)の公式誕生日を祝うパレード(軍旗分列行進式)が行われた。軍事パレードにルーツを持つこの野外イベントは、18世紀半ばに、天候が比較的安定する6月に君主の公式誕生日と重ねて実施されるようになった。チャールズ国王は今年11月に75歳になるが、伝統にのっとり6月に祝った。騎乗して兵士らを視察したが、国王の乗った馬が落ち着かず係の男性が駆け寄ったり、ベアスキンを目深にかぶった国王に「気付かなかった」との声が上がったりした。

【写真】ブーイングを浴びせられたヘンリー王子とメーガンさん

 話題になったのは、ウィリアム皇太子一家だった。皇太子(41)の騎乗姿は「凛々しい」と称賛され、キャサリン皇太子妃(41)は、アイルランド衛兵大佐に任命されたことから、シンボルカラーのグリーンをまとって注目を集めた。ジョージ王子(9)とルイ王子(5)はおそろいの赤いネクタイを締め、シャーロット王女(8)のセーラー服の赤いラインとそろえた。

 ハイライトはバッキンガム宮殿のバルコニーにロイヤルが並んで、儀礼飛行を見上げるシーンだ。観衆から歓声が上がったものの、立ち並んだロイヤルの数14人に驚いた人も少なくなかった。コロナ禍前の2019年には40人ほどがひしめいたのだ。アンドルー王子に2組の王女夫妻などが除外され、およそ3分の1に減少した。国王の進めるスリム化は支持されているはずだが、「普段見ないロイヤルも顔をそろえる貴重な機会なのに」と残念がる人もいた。

 特に目立ったのはヘンリー王子(38)とメーガンさん(41)の不在だった。ヘンリー王子に公式誕生日への招待状が届かなかったのは初めてである。王室の“サセックス離れ”には予兆があった。今年、長男アーチー王子の4歳の誕生日にもリリベット王女の2歳の誕生日にも、お祝いのコメントを発表しなかった。これまでは、欠かさず出していただけにショックを与えた。

 昨年12月、ネットフリックスのドキュメンタリー番組と今年1月のヘンリー王子の暴露本『スペア』で、父や継母、兄夫妻への批判をあからさまに展開した。その後、番組や本の中の事実誤認、虚偽を指摘されたものの、王室の動揺とショックは想像に余りある。事実、ウィリアム皇太子の支持率は『スペア』内の「兄から身体的な暴力を受けた」との描写のせいか、一時10ポイント以上、下がっている(現在は回復)。それでも王室はそろって口を閉ざし反論をこらえ、挑発に乗らない姿勢を貫いた。それが、今になってじわじわと反撃に出ている。「来年は二人の不在は話題にもならない」「まだ結婚しているだろうか」とささやかれている。

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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