「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験から、本当に子どもの体と脳によい食事がわかります。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。
そもそも「おやつ」は甘いものではなかった?
平日、幼稚園や学校から帰って夕飯を食べたり塾に行ったりするまでの時間に「おやつ」を準備する家庭は多いと思います。ふだん、何をおやつとして準備していますか?
各家庭で定番のおやつがあると思いますが、基本的には「お菓子」が多いのではないでしょうか。
そもそも「おやつ」は「八つどき=やつどき」(現代の午後2~4時ごろ)、食事と食事の合間の空腹を満たすための間食でした。「おやつ=お菓子」という習慣になったのは、比較的最近のこと。
「おやつ = 補食(栄養を補うもの)」と考えて、甘くない、あるいはしょっぱくないものを選びましょう。たんぱく質や食物繊維がしっかり含まれるものがよいです。
私が小学生時代を過ごしたイギリスでは、学校にもっていく「おやつ(snack)」は、紙袋に入ったにんじんや小ぶりのりんごが一般的でした。ドイツでも(家庭によりますが)野菜やくだものをもたせることが今でも多いです。イタリアは甘いものが好きな人が多くお手本にはしづらいかもしれません。
買ってよいお菓子の見極め方
日本の小児[*31]の約5%が脂肪肝というデータがあります。米国では小児人口の10人に1人が脂肪肝で、肥満のある小児に限ると3人に1人が脂肪肝です[*79]。
脂肪肝の原因はすべてが解明されているわけではないものの、なりやすい背景としては肥満、脂質異常、糖尿病などが挙げられます。
日本でも男児においては、肥満率がじわじわと上がってきているので要注意です。
市販のお菓子や清涼飲料水など、加工食品の商品ラベルを見てみてください。「果糖ぶどう糖液糖」などの記載がありませんか?
これは「異性化糖(いせいかとう)」と呼ばれるもので、ここに含まれる果糖は、体内で過剰な糖として脂肪に変換されて、脂肪肝の原因の1つとなることが報告されています[*80,81]。
脂肪肝は肝硬変を経て肝臓がんにまで進むリスクもあり、放置しないほうがよいです。脂肪肝を治す薬は今のところありませんが、食生活と運動で改善できます。
お菓子や飲み物を購入するときは、ラベルをよく見て、「果糖ぶどう糖液糖」と書かれた商品はなるべく避けましょう。
米国は一歩進んでいる?
米国では、国民の3割以上がBMI30以上の肥満大国で、以前は高果糖コーンシロップ(HFCS)などの異性化糖が、飲み物や食べ物に多用されていました。しかし、2004年に異性化糖の消費と肥満が関係しているという研究が発表されて以来、少しずつ異性化糖の消費が減っています。食品関係の企業も健康的なイメージのために、異性化糖の使用を砂糖に切り替えているところが増えています[*82~84]。
おすすめのおやつは何?
子どもによっては1回の食事で食べられる量が限られることもあります。おやつの時間を、栄養補給できる絶好の補食チャンスととらえて、不足しがちな栄養素を補ってあげましょう。
子どもが好きなケーキなら、卵を多めに使う、きなこ、プロテインパウダー、おからパウダー、高野豆腐パウダーをはじめ、いろいろな種類のプロテインリッチパウダーを混ぜるといったように、たんぱくリッチなパンケーキにしてみるなど、イメージシフトをしませんか。
おすすめのおやつを、栄養素別にまとめたので、参考にしてください。
食物繊維を補いたい
●きゅうりスティック ●にんじんスティック
●ふかしいも
たんぱく質を補いたい
●焼き鳥 ●味付け卵
●いわしせんべい
●えびせんべい(エビ100%)
ミネラルを補いたい
●ナッツ(ノンフライ、無塩)
●アーモンドフィッシュ
このように、おやつの時間を栄養補給タイムにしましょう!
このほかにも『医師が教える 子どもの食事 50の基本』では、子どもの脳と体に最高の食べ方、最悪の食べ方をわかりやすく紹介しています。
(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本』から一部抜粋・編集したものです)