

電話や電子メール、はがきなどを使ったさまざまな手口で面識がない人物から金をだまし取る、振り込め詐欺。警察庁の統計によると、その被害は年々増えており、2014年の認知件数は9922件、被害額は約328億5723万円(11月末現在)に上る。こうした被害を少しでも減らそうという取り組みが、スマートフォン(スマホ)向けの電話帳アプリで行われている。
ライドアンドコネクト(東京都調布市)が提供する「電話帳ナビ for Android」(Android対応・無料)では、2014年12月10日、振り込め詐欺などに利用されているとみられる約800件の電話番号をデータベース(DB)に追加した。
今回追加した番号は、警察庁や地方自治体などが公表している詐欺業者の情報を基に同社がまとめたものだ。
「電話帳ナビ for Android」は、スマホに登録されていない電話番号から着信があった時に、同社独自のDBと照合した相手先の情報を表示するアプリ。着信時には、こうした情報とともに、口コミ投稿による情報も確認できるのが特徴だ。DBには、一般の電話帳には掲載されていない宅配業者のドライバーの携帯電話や店舗などを含む、9000万件以上の番号が登録されているという。
今回、DBに犯罪性の高い電話番号が追加されたことで、例えばアプリのユーザーに対して、振り込め詐欺の一種である架空請求詐欺(身に覚えのない架空の名目で金をだまし取るなどの詐欺)の業者から電話がかかってきた場合、スマホの画面上には、「架空請求【注意】」という表示が出てくる。
また、振り込め詐欺グループが使っている業者名やその住所、使われているメールアドレスなどを検索できる機能もある。さらに同社では、実際にこうした詐欺グループが名乗っている業者に自ら電話をして、その際にどのような対応であったかを、各業者の詳細情報としてスマホ版のウェブページで提供している。
同社によると、この取り組みは、ユーザーからの口コミで、「この番号からの着信で振り込め詐欺の被害を受けた」といった、詐欺関連の情報が増えたことから、いったんデータを集約して犯罪防止に役立てないかということで行ったそうだ。DBは、今後も定期的に更新される予定だ。
「自分は大丈夫」と思っていても、巧妙な手口で知らず知らずのうちに巻き込まれてしまう可能性もある詐欺という犯罪。心当たりがない電話番号には出ないことも対策の一つだが、相手先の情報が分かれば、もっと冷静に対応できそうだ。