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 住宅を新築するときに必ず結ぶのが「建築工事請負契約」です。その契約の内容とはどんなものなのでしょうか。今回は、建築工事請負契約のポイントや注意点について紹介します。

■事前に契約内容をしっかり確認
 注文住宅でマイホームを!と考えている人が必ず通らなければならないものとは?それは、「契約」です。「契約」は、住宅メーカーが仕事を完成させることを約束し、施主が仕事の結果に対し報酬を支払う約束をする行為で、通常「建築工事請負契約」を結ぶことをいい、「注文者」である施主と、工事を担当する住宅メーカーの「請負者」との間で交わします。

 契約に作成される契約書の内容は、「工事内容」「工期」「引渡し時期」「請負金額」「支払方法」「履行遅滞違約金」などが明記されています。契約時には、他にも「建築工事請負契約約款」「建築工事費用内訳明細書(見積書)」「設計図書」が添付されます。これらの書類は、事前に住宅メーカーから写しをもらい、契約を結ぶまでに、必ず目を通しておくようにしましょう。少しでも不明な点があるようなら、営業担当者に説明を求め、解消しておくことが重要です。また、施主に不利な条件が課されている場合もないとはいえません。その際はしっかりと話し合い、納得できる条件のもと、契約を結ぶことも大切です。

■契約時に必要となる書類

建築工事請負契約書
 注文者・請負者・工期・引渡し時期・請負金額・代金の支払い方法を明記

建築工事請負契約約款
 工期や請負金額の変更・瑕疵担保・損害の負担・紛争の解決法など、契約にはない細かな取決めを記載
 ※事前に目を通しておこくことが大切

建築工事費用内訳明細書(見積書)
 工事項目・形状寸法・数量・単価を細かく記入したもの
 ※設計図書とのくい違い、別途工事になる項目について要確認

設計図書
 建築図面は実施設計と呼ばれる建築図面で、契約書に添付
 ※見積書とのくい違いがないかを要確認

■契約後の追加費用で予算オーバーになることも

 しっかり契約内容を確認せずに承諾の印鑑を押してしまうと、思わぬトラブルに悩まされることがあります。特に多いのが、「予算オーバー」に関するトラブルでしょう。たとえば、仕様や住設機器に追加や変更が生じた場合や、別途工事の内容が曖昧な場合など、契約後に追加費用が膨らみ予算オーバーになるというケースです。

 これを回避するには、契約までに次の内容をしっかり詰めておく必要があります。まずは「間取り」と「仕様」を必ず確定させ、住設機器などは品番を決めておいた方が良いでしょう。契約後、どうしても変更が必要になったときの追加費用や、別途工事の内容については、口頭で済ますことなく、あらかじめ追加契約を結ぶことが非常に重要となります。これがトラブルを未然に防ぐポイントです。

■引渡しと支払方法にも注意しよう

 建築工事請負契約書には、支払方法や引渡時期が明記されますが、これらに関するトラブルも意外に多く見られます。

 請負代金の支払いは、契約時、着工時、上棟時、引渡時に分割して支払うことが一般的です。中間金の支払いが必要な場合、「自己資金」または「つなぎ融資」のどちらで対応するのか資金計画の段階で決めておかなければなりません。

 そして最終金は、完成後に自らの目で検査を行い不具合がないことを確かめてからが肝要です。もし最終金の入金後や引渡し後に不具合を発見した場合は、トラブルとなる前に早期に対応してもらいましょう。

 さらに工事が遅延し、引渡し時期が大幅に遅れると、住宅ローンの実行時期などその後の予定に支障をきたすことになるので注意が必要です。建築工事請負契約書には、「履行遅滞違約金」の項目で1日につきいくらと記されています。
 その際、引渡しの時期を明確にしておくことで、それが遅延の起算日となりますから、しっかりと確認したいものです。

 冒頭でも説明しましたが、そもそも契約は注文者と請負者が気持ちよくそれぞれの役割を果たすためのもの。決めたことはお互いきちんと守ることが、快適な新生活をスタートさせることになるのです。

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