「コンビニ百里の道をゆく」は、53歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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明けましておめでとうございます、本年もどうぞ宜しくお願い致します。
CO2の排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)にしたい、食品ロスをなくしたいなど、ローソンでは2050年に向けての理想を掲げています。50年まで待つのではなく、現時点で自分たちの創意工夫でできることを、お客様と一緒に実現したい。そんな思いで昨年11月、都内に「グリーンローソン」という店舗をオープンしました。
弁当廃棄ゼロを目指し、冷凍弁当と店内厨房で作る弁当のみを販売したり、お客様のご協力を得ながら、冷蔵ショーケースに扉を設置してCO2を削減したり、レジ袋を撤廃したり。20を超えるサステナブルな施策を集約した店舗です。また、接客にも「アバター」を活用し、年齢や身体的ハンディキャップなどさまざまな制約にとらわれることなく働ける「全員参加型社会」もめざします。お会計はセルフレジを中心としてレジ接客業務を縮小。そのかわり、お客様のサポートをする「おもてなしクルー」がレジの外にいます。
そもそも食品ロスをゼロにすることと、品数へのお客様のご要望を100%満たしていくことには、矛盾が生じます。いつお客様が来られても最高の品ぞろえでお迎えしたいというその裏側に、多くの食品ロスが出てしまうのが現実です。ただ、挑戦しないといけない。冷蔵食品で「冷凍にすれば消費期限が延びるもの」があるならお客様の理解を得つつ、新たなイノベーションで商品を生み出せばいい。
つまりマチ全体がサステナブルな暮らしを目指すその一員として、ローソンも理想の「近未来型店舗」を生み出し、作り上げていくことに挑戦したいんです。まずは一歩踏み出しました。この仕組みをどれだけ広げていけるか。目標は高く、今年もチャレンジしていきます。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2023年1月16日号