絶世の美女にして純然たる唄者 上間綾乃（うえまあやの）。幼い頃、沖縄で民謡に目覚め、三線とともに魂の唄を届け続けている彼女が、その生き様が反映された最新アルバム『魂うた』の発売記念スペシャルイベントを開催した。
＜穏やかな時間と音楽「始まると終わるから始まる前から寂しくて」＞
7月20日 上間綾乃オフィシャルサポータークラブ会員限定イベントとして、Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASUREにて開催された同ライブは、スペシャルゲストに井上鑑（key）と笠原あやの（ve）を迎えて敢行。まずは上間がひとり三線を爪弾きながら歌い出すと、その瞬間から時間の流れ、会場の空気が穏やかになり、その歌声と音と自らが溶け合っていく感覚を覚える。渋谷のど真ん中が一瞬で沖縄タイムと化すマジック。しかし同時にその歌声からは凛としたエモーションが突き刺さってくる、そんな上間綾乃の性格そのものとも言える音楽が創造されていく。
「ついにこの日が来ましたね。皆さんも待ち遠しかったですか？ 始まると終わるから始まる前から寂しくて、でも「始まったら終わるけど、また何かが始まるよ」って聞いたことがあるので……」と挨拶をしたり、上間綾乃は音楽だけじゃなく発する言葉もまるで少女のように純粋無垢。そんな愛らしく親しみやすい彼女のトークに、ちょいちょい酒場にて沖縄民謡を楽しんでいる調子で反応するお客さんも居て、そのたびに「ここは民謡居酒屋か」とツッコまれる流れも微笑ましく、もう何もかもがいちいち優しくてあたたかい。こんなにも身も心も安心して預けられるライブとはなかなか出逢えないけれど、彼女とそのファンにとってはこれがあたりまえ。
＜「優しい歌、あったかい歌を歌う人でありたい」井上鑑らと体現＞
「優しい歌、あったかい歌を歌う人でありたい。怒りの感情が込められた歌にも愛はどこかにありますし、「好き」「大切に想っている」と歌う歌ももちろん愛はある。そこに生まれるあったかい気持ち、それを歌にして表現していきたい。でも最近思うんですが、優しい歌を歌うには、人の優しさに触れることももちろんだけど、なにより自分が人に優しくないといけない」とは、上間綾乃への最新インタビュー（http://bit.ly/2ayHTzS）における言葉だが、その想いはこの日のライブから常に感じることができた。最初から最後まで彼女は優しくあたたかった。
彼女にとって東京の母のような存在・加藤登紀子の楽曲であり、それを「新しい自分が出来たよ」と自負するほど上間綾乃の唄へと昇華してみせた「命結－ぬちゆい」や、ハワイで出会った日系の方とお話する中で「自分たちは日本人じゃない。日系人だ。ちゃんとふるさとはここに持っている。でも沖縄もふるさとだ」という強い想いを聞き、「人それぞれのアマレイロが見つけられたらな」というメッセージを込めた「アマレイロ」（※＝ポルトガル語で黄色＝幸せの色と解釈）等、最新アルバム『魂うた』の収録曲をじっくりと堪能させてくれた約80分。アンコールでは、井上鑑からのサプライズで予定になかった楽曲まで披露し、それまで座っていたお客さんが次々と立ち上がり踊り出す一幕も。
＜歌い続ける事を決心したルーツ的存在「懐かしき故郷」で涙誘う＞
そんな本当に民謡居酒屋の様相を呈してきたライブの最後を締め括ったのは、上間綾乃にとってのルーツ。13歳のとき、初めてハワイで歌ったときに涙してくれた人々の姿を目の当たりにし、「これからもずっと歌い続ける」と決心することになった名曲「懐かしき故郷」をお届け。太く重く、けれども優しく温かく、一筋の光を射す、まるで人生そのもののような唄で涙を誘ってみせた。
なお、上間綾乃は、8月12日より東名阪ツアー【上間綾乃 4th album発売記念ツアー2016～魂うた（まぶいうた）】を開催。ここでしか聴けない、体感できない、穏やかで凛とした歌声と音楽をこの機会にぜひ体感してみてほしい。
取材＆テキスト：平賀哲雄
撮影：国吉辰一
◎ライブ【New Album「魂うた」発売記念スペシャルイベント】
07月20日（水）Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE セットリスト：
01.上間綾乃ソロ
02.ミカヅキの夜に
03.ハリクヤマク
04.道端三世相
05.命結－ぬちゆい
06.南風にのって
07.アマレイロ
En1.懐かしき故郷
◎ツアー【上間綾乃 4th album発売記念ツアー2016～魂うた（まぶいうた）】
08月12日（金）名古屋・Nagoya BlueNote 1st 18:30～/2nd 21:15～
08月15日（月）大阪・Billboard Live OSAKA 1st 18:30～/2nd 21:30～
11月26日（土）東京・日本橋三井ホール OPEN 16:15 / START 17:00
東浩紀
鴻上尚史
古賀茂明
