もうすぐ『子どもの天才を見つける50の方法』という電子書籍をリリースする。畏れ多いタイトルだけど、要は「その子がいちばん大好きなことを見つけて、そこを伸ばしてあげましょう」という内容である。
 うちの息子は数学のことに、娘は美術のことに頭がいっぱいで、私はこれで良いと思ってるし、本人たちもこのまま行くつもりらしい。そんな我が家の様子も綴ってみた。

 さて先日の週末、美術な娘と一緒に朝から出かけた。行き先は、娘の希望で「ラファエロ展」。上野の美術館はさすがの人出で、多くの人が有名な絵の前に立ち止まり、じっと見つめていた。娘も真似してじっと見入っていた。

 さあ少し早いランチでもと思ったら、娘はその近くの美術館で美術系高校の卒業制作展が2つ開催されていると知って見に行こうと言う。2校の生徒さんたちの若々しい作品群を眺めて、だいぶ私の脳も刺激をいただいた。

 遅くなったランチを済ませた時点で少し頭が疲れていたのだけれど、前売りを買ってしまっていたので、六本木に移動して「歌舞伎―江戸の芝居小屋―」展へ。歌舞伎好きな娘はイヤホンガイドを聴きながらひとつひとつ興味深げに展示を回っていく。

 しかし私は展示終盤でついに情報の入れ過ぎで頭がぱんぱんになり、何を見ても何も感じることができないような、すごい状態を経験した。ちょっとお茶させて、と呻く母の様子に全く気づかず、娘はさらにその敷地内で開催されていた「デザインあ」展を「絶対観る! おやつはいらないから!」と言い出した。
「あなただけ観て来なさい。ママはどこかに座って待ってるから」
 と言ったのだけど、その展示スペースにはロビーやソファがない。どうしようもなく私も一緒に入場する羽目に。ここで1日の美術展入場料の合計が3400円となった。

「ママ! すごく面白いよ!」
 大はしゃぎする娘に寄り添い、ぼうっとする頭で場内を巡る。そこは、童話のタイトルを入れ替えたりお寿司を作ったりと、体験型の展示だったため、脳の限界を超えて楽しむことができたけれど、アートトライアスロンをやり通したかのような気分だった。

 当分美術展はいい、と思ったのだけど、娘は相当楽しかったらしく「これからも毎月1回、こうやって美術館ツアーしようよ!」と言っている。私、ついていけるかしら……。