事実、青木さんが会った被害者の少女や女性らは、「絵にかいたようにおとなしい子ばかり」だという。

「派手な子は反撃される確率が高いと考える痴漢が多いのでしょう」

 最近は、男の子や男性が被害に遭うことも珍しくないという。

 では、「おとなしそう」な印象を持たれる子どもや人は、どう身を守ればいいのか。

 青木さんが最も効果的だと薦めるのは、防犯アラームのようなシンプルな防犯グッズだ。たとえば、電車の中で痴漢に遭っても、驚きや恐怖心で「助けて」の言葉が出ない可能性が高い。

「 そんな時の最強の撃退方法は、「迷わず防犯アラームを鳴らすこと」と青木さんは言い、こう続ける。

 痴漢は、自分に警戒したのだとすぐに理解します。犯罪者は目立って捕まることを一番恐れます。周囲の視線がアラームを鳴らした子に集まるので、それ以上は手出ししません」

 防犯アラームを鳴らすことで、「何かあったな」と不穏な気配を察知して、見守る人が出てくれる可能性も高まる。

「とにかく、早めに鳴らして痴漢行為やわいせつ行為を1秒でも早く止めてください。そのほうが、心の傷も浅く済みます」

 幼児や小学生が痴漢やわいせつ被害に遭う事件も多い。子どもには、こう教えると理解がしやすいという。

「下着で隠れる場所を触られたら、防犯アラームを鳴らしなさい」

 最近は、「痴漢です」などと音声で警告音を鳴らすスマートフォンのアプリもある。

性被害に遭っている時は、動揺しています。その場合はスマホより、できるだけシンプルな手順で助けを求められるグッズがよいです」

 確かにスマホの場合、手に取ってからロックを解除してアプリを起動させるなど、操作の数が多い。だからこそ、操作がシンプルな防犯アラームを推奨している。

刑事事件専門の弁護士ならばいい?

 被害者として弁護士を探す時も、コツがある。

 まず、性被害者支援を専門としている弁護士を選ぶことだ。注意しなければいけないのは、「わたしは、刑事事件に慣れています」と話す弁護士だ。

 なぜか。

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被害者支援を行う自治体は増えている