相手のお金の使い方には理解がないと不満につながるが、大きな買い物のときはどうしているのだろうか?
「大きな買い物や高額な支出(車・家具・家電・装飾品など)があるとき配偶者・パートナーに相談せずに出せる金額はいくらですか?」を聞いてみると、「1万円まで」36%(男性20%、女性16%)と「10万円まで」33%(男性21%、女性12%)で7割を占め、「0円(相談しないと支出はできない)」が16%(男性9%、女性7%)。一方で、1割未満だが、「相談しない」8%(男性5%、女性3%)や「100万円まで」6%(男性4%、女性2%)という高額商品を買う財力や決断力がありそうな人も。
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「人生100年時代」といわれるいま、夫婦やパートナーと残りの人生を考えたときに老後のお金も大事なテーマ。「配偶者またはパートナーと、老後資金のことを話し合ったことがありますか?」と聞くと、「話し合ったことがある」が44%(男性27%、女性17%)で、「話し合ったことはない」の39%(男性23%、女性16%)を上回った。
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「5年以内には話し合う予定である」が10%(男性6%、女性4%)だったが、「話し合うつもりはない」が5%(男性3%、女性2%)もいる。5%とはいえ「話し合うつもりはない!」とキッパリ決断していることに驚くが、岡野さんは「意外ではない」と言う。
「これまで老後資金の話なんてしてこなかったのに、急に老後のお金のことを話し出すと“離婚を考えているのか?”と相手に疑われかねないので、話せていない・話さないという人はいます。また、いつからを“老後”とするかは人それぞれなので、まだ話し合うときではないと思っている場合もあります。老後の資金の話をしていないと、夫婦関係がうまくいかないというわけでもありません。老後資金の話し合いは先延ばしにしていたとしても、例えば、夫婦またはパートナーに何かあったときに使えるように“まさかのときのお金”を2人でためておくくらいはしておいてもいいかもしれません」
岡野さんは「私のところに相談にくるのは、大抵うまくいっていない夫婦だから(笑)」と言いながら最後にこうアドバイスする。
「夫婦は精神的にも経済的にも、生活面でもお互いに自立していないとうまくいきません。1人でも生きていけるけど、2人なら心強いというのがベストパートナーだと思います。コロナという感染症が広がって、いつ何がどうなるかわからないことを経験して、お金も大事だけど、自立した2人でいれば心強い、幸せだと、心豊かに暮らしていきたいですね」
確かに、豊かとはお金にも心にも使う言葉! 2人なら倍、いやそれ以上かもしれない! 夫婦のお財布事情は世相も表し、奥深い。(AERA dot.編集部 太田裕子)
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岡野あつこ/夫婦問題研究家、パートナーシップアドバイザー。立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修了。1991年に離婚相談室を設立。近著に『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』(サンマーク出版)。
※AERA dot.はYahoo!ニュースを通じ「配偶者またはパートナーがいる人限定でお金の管理」についてアンケートを実施し、2000人から回答を得た。(調査は2022年8月17日に実施。対象はYahoo! JAPANユーザー2000人。男女比は6対4、年代は20代が4%、30代が15%、40代が33%、50代が30%、60代以上が17%、その他1%)
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