今年の1月30日、「共に民主党」ら野党が一方的に採択した梨泰院事故の「調査結果報告書」では「麻薬取り締まり計画にともなう秩序維持業務をおろそかにしたこと」を事故の原因と指摘している。
梨泰院事故の原因と麻薬捜査を結びつける野党の政治攻勢に、冷淡なまなざしを向ける人も少なくない。
ネット系企業に勤めるKさん(39)は、「梨泰院事故が発生していなかったら自分たちも拍手したに違いない麻薬捜査を、野党は政争の武器にしている」と語る。ネットでも、「一部の政治家の発言が国民の世論を悪化させている」などの否定的なコメントが増えている。
2月10日、韓国の大型世論調査機関「リアルメーター」の発表によると、ソウル中心部の光化門広場への梨泰院惨事焼香所の設置に賛成する国民は約37%に過ぎず、60%以上が反対していることが分かった。
野党の梨泰院事故を巡る政権批判は、「与党の次期大統領候補」を台頭させる逆効果まで生んでいる。
その候補は野党が攻撃する法務部の韓長官。韓長官は梨泰院事故の原因と麻薬捜査を結び付けた黄議員を「職業的な陰謀論者」と批判。「国民的な悲劇を利用して政治商売をするのは誤り」と指摘した。
その姿勢が好感度を上げたのか、世論調査機関「韓国ギャラップ」(2月1日)の発表では、保守支持層が支持する次期大統領候補の中で、韓氏が圧倒的な1位を記録した。
そして最近、彼が指揮する野党の代表にかかわる賄賂と背任などの嫌疑に対した捜査も追い風になっている。2月15日に「国民リサーチグループ」が行った政党支持率の世論調査によると、与党「国民の力」が48%、野党「共に民主党」が31%と、大きな差を見せている。
梨泰院の事故が政局に影響を及ぼす事態に発展している。
ノ・ミンハ(現地ジャーナリスト)