「コンビニ百里の道をゆく」は、50歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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子どもたちが教科書を読めなくなっている、という話が度々話題に上がります。ビジネスにおいて、読解力は非常に大切です。仮説、実行、検証の三つを回し続けることがビジネスでは大事ですが、それは読解し続けるということです。やみくもに実行しても、答えは出ません。
AIだって、使いこなせて初めて役に立つ。仮説を与え、適切なフィードバックができなければAIをフル活用することはできません。使う側の我々とAIがともに作用しあうことで、より我々の読解力も伸ばしていけたらと思っています。
では、読解力を鍛えるためにはどうすればいいのか。やはり本を読むことではないでしょうか。深く読み込み、内容に没入することで自分なりの解釈や考えを紡ぐことができる。本を通して人の喜怒哀楽を感じられるようになれば、たとえ物語の中の話であっても、一つの経験として自分の糧になると思うのです。
相手の気持ちを慮るという点では、人付き合いもまさに読解力です。
ただ、いざ磨こうと思っても難しいもの。活字離れと言われていますが、幼少期から自分の好きな本を見つけるまで、本を読むという習慣が大事なのでしょう。
とはいえ、実は私自身も、ずっと本を読み続けていたわけではありません。中高と本から少し離れていた時期もありました。ですが、大学時代の同級生が「本代だけは無駄遣いと思ったことがないんだよね」と言うのを聞いて、「確かにそうだな」と感銘を受けて、そこからまた読むようになりました。
「好きこそものの上手なれ」と言われているように、好きな本や分野は誰にでも必ずあると思います。なんでもいいのです。それが見つかるまで、とにかくたくさん読んでみることを一つの方法としてお勧めします。
※AERA 2019年9月9日号