「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
* * *
「トイレには神様がいる」という言葉、一度は耳にしたことがおありだと思います。1997年、コンビニ業界でトイレを最初に開放したのがローソンでした。
小売業では「QSC」という三つのポイントがあります。クオリティー、サービス、そしてクリンネス。ローソンではそれぞれ、商品、接客、清掃を「三つの徹底」として取り組んでいます。
まず本部として、しっかり売っていただけるように良い商品を作る。ヒット商品はお店を元気にします。
お店の皆さんには、お客さまに気持ちよく買い物をしていただけるよう、笑顔の接客や清掃を頑張っていきましょうとお願いしています。まずは一つ極めようと、今年の春から「トイレ清潔大作戦」を始めました。
提言したからには率先しなければ、と私も全国の店舗に出向いてトイレ掃除をさせていただいています。ぞうきん、手袋、長靴を持参して、お店の方々と掃除をする。なかには、「うちのトイレを見てください!」と言ってくださる方も。
皆さんが口をそろえて言うのは、トイレをきれいにすると、他のところもすみずみまできれいになっていく、ということです。
クルーの皆さんがデザインつきの壁紙を貼ったり、一輪挿しを飾ったりする店もあります。何か一つのことに集中して取り組むと、チームの和も良くなり、より笑顔で接客ができる。結果的に、商売も回るようになります。
トイレ大作戦を始めて4カ月が経ちましたが、まだまだ継続強化中です。トイレ掃除の活動も本部の各部署に広がってきています。
「トイレをきれいにしよう!」
という意識が少しずつ本部にもお店にも出てきています。これからも、お客さまが気持ちよく買い物できるような環境を整えていきたいですね。
※AERA 2019年7月29日号