ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
(c)朝日新聞社
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 話題の「2千万円問題」が金額以前におかしいのは、今までバリバリ働いていた人が、年金をもらうと途端に収入がゼロになるという前提条件を設けていること。意味が分かりません。今の生活費の平均値を前提にすると赤字額はどうやら6万円程度ですので、レジでバイトすれば稼げます。これを貯金で賄えないから危ないですよ、というロジックは一体どっから出てくるのか。これから高齢者向けの仕事はどんどん種類が増えます。60歳でマッククルーデビューなんて、楽しそうではないですか!?(私は大学生でバイト経験あり!)

 それから東京と地方在住の問題提起も必要でしょう。もらうのは日本全国どこでも24万円としても、生活費は同一ではないはずです。

 1年間岩手県紫波町に住んで「しろーと農業」をやった経験でいうと、収入は農業にバイト代を入れて月18万円、支出は月12万円という感じでした。夫婦2人でも支出合計24万円にはならず、軽く20万円は切ります。これでも年金では足りないというのか?

 つまり、年金世代の、子供も成人した後の地方在住という選択肢が完全に漏れています。一部の雑誌は「地方移住の穴」とかそんなことばっかり記事にして、とにかく金融商品を売りたくてしょうがないわけですが(そういう雑誌の広告は大体金融機関が多数出している)、だまされてはいけません。

 これでも岩手県は冬には暖房費がかなりかさみます。だから今ワタクシは断熱住宅をつくっていて、冬の暖房代はゼロにできることが判明しました。こうなると支出はさらに下がります。年金の範囲で十分やっていけますよ……という話を金融庁はどうして売り込まないのか? 税金を使って地方移住を増やそうとしているご時世に、年金世代を勧誘しないのはなぜか? おそらく民生費をかけたくないという地方自治体の思惑があるんでしょうね。

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ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

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