台湾の澎湖諸島。千本のペットボトルを網で包み、綱で結わえてボートにする。材料はすべて海岸に漂着したごみだ(撮影/ライター・松田良孝)
台湾の澎湖諸島。千本のペットボトルを網で包み、綱で結わえてボートにする。材料はすべて海岸に漂着したごみだ(撮影/ライター・松田良孝)
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 海外からの海岸漂着ゴミ増加による、環境汚染が懸念されている。台湾では漂着ゴミでボートを作るイベントが開催されるなど、ユニークな方法での問題提起が注目を集めている。

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 発泡スチロールやペットボトルなど海岸漂着ごみでボートを作ろうというイベントが4月14日、台湾と中国を隔てる台湾海峡に浮かぶ澎湖(ほうこ)諸島で開かれた。

 近年、海洋汚染で問題視されているマイクロプラスチックの発生源となるなど、生態系に対する影響が懸念される海岸漂着ごみ。この環境問題が身近な暮らしと密接にかかわっていることに気付いてもらうため、漂着ごみを使って遊び心を持たせた企画だ。イベントの参加者は約200人。会場となった海岸には、ごみから生まれたユニークなボート18艇で遊ぶ人たちの歓声が響いた。

「海のごみは、海を漂って流れてきたんだから、浮力があるわけでしょ? 船にして乗れるんじゃない?」

 海辺のごみに関心を寄せる地元NGOの人たちの間でこんなアイデアが生まれ、海岸漂着ごみでボートを作る初のイベントが開かれたのは2018年4月。その時の主催メンバーで、今年もイベントの準備に携わった巫佳容(ウジアロン)さんは「海岸漂着ごみの活動を、おもしろいイベントに変えることができた」と話す。

 台湾本島の西に位置し、美しい砂浜がリゾートとして人気を呼ぶ澎湖諸島。だが、島嶼(とうしょ)部北東側の海岸には、季節風の影響などで大量の漂着ごみが吹き寄せられる。巫さんが所属する台湾の環境団体「海洋公民基金会」の調査によると、製造国が識別できた漂着ごみの8割が中国製だった。漁業関連の緩衝材として使われる大型の発泡スチロールも目立つ。

 海岸漂着ごみの調査を続ける防衛大学校名誉教授の山口晴幸氏は、こう指摘する。

「発泡スチロールは細かくなりやすく、いろいろなところに飛んでいく。多孔性(微細な穴が開いた構造)で有害物質などの吸着性も高い。特に危険なごみと言えます」

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