「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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今、爆発的に売れている商品があります。その名も「悪魔のおにぎり」。10月16日の発売以来、販売総数は1千万個を超え、20年間不動のトップだった「シーチキンマヨネーズ」を上回る実績となっています。予想以上の売れ行きで原材料不足になってしまい、一時販売に制限をかけさせて頂いた期間もありましたが、供給体制を整え、現在はお店に並ぶようになりました。
元は南極観測隊の「まかない飯」としてテレビ番組で紹介されたもので、SNSなどで話題になっていました。「おいしすぎてついつい食べ過ぎてしまう」ことから「悪魔のおにぎり」と名付けられたそうです。ローソンでは白だしで炊いたご飯にイカ天入りの天かす、青のり、天つゆを混ぜ込んでおり、うまみたっぷりの商品に仕上げました。
ヒットの要因は、斬新なネーミングとパッケージデザイン、SNSでの拡散などさまざまなことが考えられます。その上で、実際に召し上がった際、お客さまに期待値以上の「おいしさ」を感じて頂けたことが最も大きいと考えています。最後はやはり「味」なんです。
ローソンには安定した「定番」と、企画を重視した「わくわく系」の商品があります。「悪魔のおにぎり」はわくわく系ですが、こうしたヒットが生まれることで「ローソンはやっぱり面白いよね」とお客さまに感じて頂ける。現場の士気も上がります。この商品のおかげで、この年末は、すごくいいムードになっています。
プレミアムロールケーキも、ゴディバとのコラボ商品も、でか焼鳥も、最初は「わくわく系」の商品でした。それが、想定を超えて販売制限がかかるほどのヒットになったことで、「定番」のレギュラー商品に。
このまま売れ続ければ、「悪魔のおにぎり」が定番化する日も近いかもしれません。商品開発には、世の中の流行をいち早く察知できるよう常にアンテナを張ることが大切だと改めて感じています。
※AERA 2018年12月17日号