「ちょっとしたことでも迷うので、とにかく分かりやすくするための工夫をしてほしいです」

 小4、小6、中3の3人の子どもを持つ愛知県の40代の女性は、毎日が紙洪水。

「中学校に小学校、子が3人ともなると、煩雑さも増して大変です」

 子どもが通う小学校では、全校配布のプリントは年長児だけに配られ各家庭に一部、それ以外は全ての子どもに配られる。

「少しでも数を減らす工夫なんでしょうが、配布物によって誰に配られるかが違うと管理も複雑。うちは上の子のほうがあまりしっかりしていないタイプなので、結局手元に来ないこともあります」

 はたして、プリント煩雑すぎる問題の改善は、本当に難しいのだろうか。何より学校がデジタル化すれば、親が大量のプリント地獄から逃れられるだけでなく、先生側のプリント作りの負担も軽減されるのではと、考える人は多い。

 だが、そう簡単ではないらしい。

 情報発信の工夫に努める都内の公立小で管理職を務める男性は、試行錯誤しつつも一気にデジタル化は難しいと言う。

「すべての家庭がインターネットを利用できる状況にあるわけではなく、情報セキュリティーの関係で、学校が伝えたいことをデジタルですべて伝えるのは難しい。全員に連絡を回すためには、現時点ではやはりプリント配布のほうが確実です」

 教育ジャーナリストの佐藤明彦さんは言う。

「電子化が難しく、プリント配布が情報伝達の中心なら、先生間の連携は不可欠。情報重複やミスプリントという事故は減らせるはずです」

 保護者がプリントの仕分け作業から解放される日はくるのだろうか。(フリーランス記者・宮本さおり)

AERA 2018年12月10日号