

「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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8月、9月に全国各地の加盟店のみなさんに向けた「秋のローソンセミナー」を開催しました。札幌から福岡まで全国7カ所で、のべ10日間。1万4千店舗のオーナー、店長、リーダークルーのみなさんなど2万人の方々に、この秋冬の重点商品の説明や試食会とともに、これからローソンが進むべき方向などをお話ししました。
今回は、みなさんの関心が高く、最も手応えを感じたセミナーになりました。ここ数年、コンビニ業界は踊り場を迎えていると言われる中で、現場では人手不足など切実な課題を抱え、将来に不安を持っている方も少なくありません。次の世代にお店を任せようと考えているオーナーさんには、子どもたちが時代の激しい変化に耐えられるのだろうかという不安もおありです。
そうした不安を解消すべく、私はセミナーで「3年後のローソン」を1時間くらいかけて話しました。すでにコンビニという「枠」にとらわれる時代ではないこと、お客さまの一番近くにあるお店として具体的に何ができるか。「コンビニの弁当はこうあるべき」「こんなお総菜をそろえましょう」というところから一度離れて、お客さまが求めているもの、喜んで頂けるサービスを徹底的に追求しましょうと。
ネットで注文した商品をお店で受け取れる「ロピック」が軌道に乗り始めていることや、店舗内で温かいお弁当を提供できる「まちかど厨房」を今年度末までに6千店舗まで拡大する意味などを、しっかりと説明しました。そして、「本部がサポートしてリアル店舗の価値を上げていくので心配はありません」と断言しました。
講演後、「こういう話が聞きたかった!」「やる気が出た!」などの声を多く頂きました。私もこんなに熱意あふれる方々と一緒に仕事ができることを、改めて誇りに思いました。このセミナーは、加盟店のみなさんと本部の思いを一つにする貴重な場所。これからも大切にしていきます。
※AERA 2018年10月8日号