また守備面でもこの冬で大きくレベルアップし、2.00秒を切れば強肩と言われるセカンド送球でもコンスタントに1.90秒前後をマークしている。下級生の頃から強豪で正捕手を任せられており、さらに強肩と強打も備えているとなれば注目されるのは当然である。センバツ出場はギリギリのところで出場を逃しただけに、夏に甲子園の大舞台で活躍すればさらに評価を上げることになりそうだ。

 椎木が出場を逃したセンバツ高校野球で評価を上げたのが山北一颯(東邦3年・投手)だ。父の山北茂利氏は中日ロッテで中継ぎとして活躍した大型左腕である。一颯は父とは逆の右投手だが、189cmと長身は受け継いでおり、スケールの大きさが魅力だ。チームには他にも好投手が多いということもあって昨年秋までは公式戦での登板は多くなかったが、センバツでは高松商戦で先発を任せられると、6回を1失点の好投でチームを勝利に導いてみせた。この試合では少しスピードは抑えめだったものの、それでも最速は142キロをマークしており、体ができればまだまだスピードアップする可能性は高い。高校卒業後の進路は大学進学という話が聞こえてくるが、4年後にはドラフト戦線を賑わせる存在へと成長することを期待したい。

 他にも山北と同じくセンバツで活躍した高見沢郁魅(敦賀気比3年・三塁手・父は元オリックスの高見沢考史氏)や、150キロに迫るスピードボールを誇る広池浩成(慶応大1年・投手・父は元広島の広池浩司氏)、高校時代から大型打者として評判の小池祐吏(亜細亜大1年・三塁手・父は元横浜、中日の小池正晃氏)などもプロを狙える将来性を備えている。

 プロ野球選手を父に持つということはそれだけ周りからの期待も大きく、苦しいことも多かったはずだが、それでもしっかりと実力をつけてきているところに強さが感じられる。今後も彼らに続くドラフト戦線を賑わせるような二世選手が出てくることを期待したい。(文・西尾典文)


●プロフィール
西尾典文 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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